久しぶりに、うっとりするような本を
読んでみたい、と。
最近かなり、辛い本が多かったから😅

浅田次郎さんの短編集は、
数えてみると12冊、持っていました。
仕事の休憩中と、通勤の電車で、
よく読みました。
老眼鏡が必要になってからは、
電車で読むのはちょっと億劫に
なっていたのですが、久しぶりに
文庫本をバックに入れてみました。

「月島慕情」「月のしずく」「月下の恋人」
と、月シリーズ?
3冊を次々と、とっかえひっかえ🤪
読み始めると、どうにも止まらずに😅
何度も読んでいるのに…。

例えば
「月下の恋人」の中の「情夜」
妻と息子と、別れてしまった
ひとりの夜の縁側。

「夜半(よわ)の満月は真夏には珍しいほどの
明るさで、畑の上を照らしていた。蝉の声が
已むと、あたりは壺の底のように静まり返った。
終電の轍の響きが夜空をめぐって消えた」

この情景の描写の美しさ。
各所に出てくるこういう本当にうっとりする
ような文章に心酔します。

初めて「鉄道員」を読んだ時の衝撃!
すごい!と思いました。
山本周五郎から、宮本輝、
そして浅田次郎だなぁ、などと、
独りよがりで生意気ですが、
美しい文章で泣かせる作家三代、を
決めたりしていました🤣

電車で読んでいて、
困るのも浅田次郎さんですよね。
何度読んでいても、
泣かないぞ、と身構えていても、
不意に涙が出てしまって😅

今回も、
「月島慕情」の中の「供物」
ずっと昔に別れた夫が亡くなり、
せめて供物だけでもしたら、と今の夫に
言われ、渋々出掛けて…。
DVのろくでなしの元夫から、
逃げてきたことは、夫は知っているけど、
子供も捨ててきたことは、話していない。
元夫の家の前で動けなくなり、
思わず、夫に電話をかけてしまう。

「たった一度の呼び出し音で、夫は電話に出てくれた。「もしもし。もしもし。どうした、ママ、今どこにいるの。何かあったの?」もう定年も近いというのに、少年のような声で夫は呼びかけた。」

電車の中で、思わずマスク直すふりをして
涙を、誤魔化しました。

いいなぁ、と。
どうしてこんな綺麗なお話を
書けるのかなあ、と。

何でもない言葉、何でもない情景なのに
何かまさに琴線にふれる?とでも言うか?
上手ですよね、泣かせ方🤣


今回の浅田次郎さんは、
月のつく表題の3冊を読んだのですが、
前回のブログに書いた
「月が綺麗ですね」は
夏目漱石の、I love you の訳ですが、
二葉亭四迷は、「死んでもいい」と
訳したそうですね。
ちょっと過激すぎるけど😅
面白いですね。
それで私なら何と訳そう?
と考えたりしてます。
ものすごくつまらない言葉しか
思いつきません💦
やっぱり皆さん言葉の天才なんですね。