大阪の御堂筋も、イルミネーションが、灯されて、
とても綺麗で、だけどいつもこれを見ると
淋しい気分にもなる、そんな季節です。
なかなかこの本を開くまでに
辿り着きませんでした。
本棚にある山本文緒さんの本
「プラナリア」の単行本と
10冊ほどの文庫本を、パラパラと開いて、
20年程前の自分の気分や、
その時に読んだアレコレを思い出しました。
特に「恋愛中毒」は、
それから山本文緒さんを続けて追いかけて
読んでいくキッカケになった本で、
新しい考え方や、勇気も、
もらった本でした。
以前も投稿した
「ファーストプライオリティ」も
人それぞれの、価値観、嗜好、など
あまりにもいろいろな人たちのお話で、
どんな生き方もある、
どんな生き方でもできる、と
改めて教えてもらった本でした。
「自転しながら公転する」
読み始めてすぐに、
山本さんの本だ!と、とても懐かしく思いました。
いつも主人公は、普通の女の子なのです。
もう今は、女の子と思いますが、
20年前は、ちょっと以前の自分だ、
という感じで読んでいました。
これも33歳の女性、都、が主人公です。
地方都市の、ちょっと自分の趣味とは違う
アパレルショップの契約社員で、
更年期障害を患う母親の介護を
抱えている。
もう30歳を越えて、結婚はしたいけれど、
知り合った男性は、
中卒の回転寿司の店員で…。
起こる出来事も、どこにでもある
普通の出来事で、
そして主人公都の考えること、感じることも
それは私でもそうだろうと思える
すぐ身近な等身大の女性。
だけど、その自分のような都は、
何度も躓いて傷ついたり、
他人を羨んで妬んだり、しながらも
少しずつ変わっていって、
最後に選んでしまうことは、
ハッピーエンドなのか、
どうかはわからないけど、
「幸せになろうとしなくてもいい、
幸せにならなきゃと思い詰めると、
ちょっとの不幸が許せなくなる。
少しくらい不幸があってもいい、
思い通りにはならないもの。」
という言葉で、
ああ、都は、とても成長したんだなぁ、と
何かとても大事なことがわかったんだな、と
納得して、思わず自分も嬉しくなるような、
そんな幸せなお話でした。
20年前、
こんな本を書く人もいるんだ!
と、とても新鮮な驚きで、読んだ山本さんの
たくさんの本。
普通の自分と同じような女性なのに、
とても変にねじれていったり、
突飛なことをしてしまったり、
えーっ!と驚きながらも、
とても爽快で、
そうなんだ、どうでも生きていけるんだ!
と、大きな勇気ももらいました。
最後の解説の藤田香織さんの文。
「他に代わりのいない作家だった。
かけがえのない作家だった。
大好きな作家だった。
いや、過去形ではない。
その気持ちは、
きっとずっと変わらない。」