図書館で、予約をしていた本。
予約はしていたけど、今読むのは、
ちょっときついな、と思いつつ。
母親とその同居人に、虐待されて育ってきた
男の子の話し。
ついこの間も、大阪で、
2歳の女の子が、祖母などのネグレクトで、
亡くなったばかり。
あまりに酷く、哀れで、
新聞もニュースも詳しく
見られないほどです。
暗い気持ちで、読み始めたのですが、
これは、男の子が、12歳と大きいこともあり、
むしろ男の子の方から、母親を捨てるような
展開。
賢い子でもあるので、わざわざ虐待を通報され
保護されるように立ち回り、
母親のところには帰りたくない、
母親は嫌いです、とはっきり言うし、で、
やはり12歳にもなれば大丈夫なのかもしれないと考えたりもしたのですが…。
食べる物がなくなった時に、
こっそりお弁当をくれていたコンビニ店主夫婦が
里親になろうと申し出てくれて、
迎え入れてくれ、
もう飢えに苦しむこともなくなり、
清潔な温かいベッドで寝ることもでき、
スマホも持つことができたけど、
だけどそれまで誰からも愛されたこともなく、
愛したこともない彼は、
友達の作り方も分からず、
人を信じることもできない。
社会のルールも分からず、
人から蔑まされることにばかり敏感になり、
卑屈になっていく。
そしてついにナイフを振り回すというところまでいってしまう。
物語は、唐突にこれで終わってしまって、
解決も回答もないけれど、
そのナイフを振り回す
最後のたった2ページで、
やっと彼の心が
ほどけていくような感じがあり、
きっとこれから、というような希望を感じて
泣いてしまいました。
虐待の話しはたくさんありますが、
桐野夏生さんの本だから、
たやすくはないことは覚悟していましたが、
どこまでも暗さが続き、もしこれで終わったら、
ホントに後味悪いぞ、と思っていましたが、
最後は、ほのかな明るさを感じる終わり方で
良かった。
ハッピーエンドにしない、
含みを持たせて、
続きを考えさせる終わり方、
桐野さんらしく、見事だなと思いました。
子供の虐待死のニュースは辛すぎます。
たった2歳。
あんまりですね。