「邪魔」や「オリンピックの身代金」などで、

とても好きで馴染みのある奥田英朗さんの本。

図書館で見つけました!

5篇の短篇集です。

どれもちょっと、不思議❓が入っている

お話しです。

思わず声をあげて笑ってしまったり、

胸にジーンときたり💕

すごく面白かった❣️


「コロナと潜水服」

表題作です。

題名のとおり、コロナで、在宅勤務になった

主人公。

妻は区役所の勤務のため、出勤しなくてはならず、

5歳の息子とふたりで日中をすごすことになる。

そして、息子が、コロナウィルスに対して、

不思議な超能力を持っていることに気づく!

「ばぁばに、今日はお出かけしないで、と電話して!」としつこく言われ、

コーラスに行こうと思ってたの、という母親を、

行かない方が良いんじゃないの、と引き止めた後、

そのコーラスの会で、クラスターが発生したことが分かったり、

この公園では、遊ばない!と言った公園は、その前夜、若者たちがビールを呑み騒いでいて、そしてその中から感染者が出て、遊具やベンチなどは、使用禁止となったり、

そして、どうしてもの仕事で、一度だけ、外で人と会った後、家に帰ると、息子は、顔色を変えて、

きたらダメ!と叫ぶ。

自分は、感染したのだと悟った主人公は、

自主隔離を始め、

それでも息子の世話はあるため、

防護服の代わりに、仕方なく潜水服とヘルメット、

マスクに長靴で、息子と買い物に出たりする。

2年前、安倍総理が緊急事態宣言をした頃の話し。

まだワクチンもなく、どうなるのかも全く分からず、

テレビは、コロナ一色になり。

何だか得体の知れないものへの恐怖心は、

今になると、思わず笑ってしまうほどだけど…。

それらの描写が、ウィットに富んでいて、

とても面白い。


「ファイトクラブ」

これが私の中では、最高傑作でした。

早期辞職勧告に応じず、

追い出し部屋のような、危機管理室というところに配属された、50歳前の男性会社員5人。

その部屋にあった、ボクシングの用具で、

暇にあかしてみんなで、ボクシングの真似事をして遊んでいると、突然、嘱託職員だという還暦すぎの男性が現れコーチをしてやる、と言われる。

会社からは、冷たい扱いを受け、同僚からは、同情の視線をあび、家族には虚勢をはり、

投げやりな気分でいたのだけど

そのコーチの指導で、

まるで学生のクラブ活動のように、

5時からのボクシングに熱中していく

5人のおじさんたち😆

リングに見立てたようなものまで作り、

試合もしてみて、ますます、人を殴る、という

はじめての経験にみんな夢中になり、上達もし、

団結も深まり✌️

そして、夜の会社に入った窃盗団を見つけ、

みんなで取り押さえるという快挙をあげる‼︎

5人のおじさんたちはまた、待遇が変わりそうではあるけれど、

みんなもう何でも来い!という気分だ。

どこへ配属されようが、与えられた仕事をこなすだけ、なんなら退職して警備員になってもいい👌

などとみんな思っている。

でも、どうしてあの部屋にボクシングの用具があったのか?そしてあのコーチは誰で、どこにいったのか?


流石の奥田英朗さんでした。

5篇全部、読みやすく、面白く、

読み終わった後に余韻が温かく残って…。

奥田英朗さんを、はじめて読む人なら、

この本から読んでみて、と言いたいかな😃