★シメチジン(タガメット) | きじとら☆茶とら+はちわれ

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2009年03月04日

シメチジン(タガメット)

シメチジン(タガメット)は世界初のH(ヒスタミン)-2拮抗薬です。薬物の相互作用や副作用の面で使用しにくく、その後に発売されたファモチジン(ガスター)等の薬剤の登場で、今や胃潰瘍等の治療にはあまり使用されなくなっています。

ところが、80年代頃からこのシメチジンが一部の癌に効果があるという話が出ていて、未だに時々話題に登っています。
分かりやすい説明は、こちらを参考させて頂きます。


http://blog.goo.ne.jp/cancerit_tips/e/d9a595357b9b72e260d5ca0afe789cc5
※リンク間違っていたので修正しました

まとめさせて頂くと、
1979年Lancet誌:肺がん患者2名の癌消失
1982年Lancet誌:悪性黒色腫3名に著効
1994年Lancet誌:大腸癌術後の3年生存率に大きな変化
1995年Lancet誌:有名な日本からの報告
大腸癌手術2週間後、5FU投与患者のうち半数にシメチジン
800mgを1年間処方。生存率は、
【直腸癌】シメチジン投与100%:投与なし53%、
【結腸癌】シメチジン投与96.3%:投与なし68%

こんなに効くの?というすごい効き目です。
何故効くのかは諸説あって、諸説あるという事はつまりのところよく分かっていません。しかし、逆に否定的な報告も相次いで出ていますし、そんなにスゴイ割に治験の方もどうなったのか分からないですし、30年くらいたった今でもメジャーな治療になっていないところをみるとあまりはっきりした効果がないのかもしれません。

しかし、この薬が効いたのかどうかは分かりませんが、私には効いたと思える患者さまがいらっしゃいましたので、今日はその紹介をさせて頂こうと思います。
その方は80代男性で、200×年に閉塞性黄疸からERCPを行い胆管癌と診断されました。基礎疾患とご年齢から手術は選択されず、抗がん剤治療も行いませんでした。
ただ、閉塞に対して定期的にステントの交換のみを行っていました。基礎疾患の進行もあり、さすがに少しずつ全身状態は悪化してこられました。

尊敬する内科のF先生から引継ぎ、最後の入院の途中から私が主治医として関わらせて頂きましたが、実に5年半、積極的な治療なしで生存された事になります。
手術出来なかった胆管癌の、5年生存率は1%、もしくはそれ以下と言われていますから、この方に使用されていたシメチジンがいくらか役にたっていたのではないかと思うのです。

私がこの話を出した主旨は、シメチジンの抗がん効果を皆さんに証明するためではないのです。ただ、もう治療が出来ない患者さんに経済的に大きな負担をかける健康食品ではなく、もう少し医学的裏付けがあり、希望に繋がる「何か」はないものか。
その中に、シメチジンという選択があっても良いのではないかという事なのです。

※シメチジンは一緒に使っている薬の副作用を増強する可能性がありますので、使用
する際は必ず主治医の許可をもらって下さい。

※乳がんでは内分泌系への作用からあまり使用しない方が良いのではないか、という意見もあります。

こたろうさんの「緩和ケア病棟24時」 から転載です。

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