マスコミに載らない海外記事 より転載。
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★チェルノブイリ後始末の専門家、日本とIAEAを酷評
Michael Shields
Reuters
2011年3月15日、火曜日 2:42 PM EDT
ウイーン(Reuters)
火曜日、原子力産業の強欲と、国連の原子力監視機構に対する企業の影響力のおかげで、日本は原子力災害を拡大する羽目になりかねないと、チェルノブイリの汚染除去をすべく配属された人員の一人が語った。
福島における日本の対応を批判して、ロシア人原発事故専門家ユーリー・アンドレーエフ氏は、企業と国連国際原子力機関(IAEA)は、業界の繁栄を守るために、25年前の世界最悪の原発事故の教訓を意図的に無視していると非難した。
"チェルノブイリ後、自分たちの評判に傷がつかないようにするために、原子力産業のあらゆる力が、この出来事の隠蔽に向けられました。研究資金を持っているのが、原子力産業しかないため、チェルノブイリ体験は正しく研究されなかったのです。
"業界はあの事故が気に入りませんでした" ウイーンでのインタビューで、元ソ連の原発事故緊急対策機関、スペツアトム元理事長で、現在、原子力の安全性について教鞭をとり、助言している彼はそう語った。オーストリアの環境省は彼を顧問として雇っている。
火曜日に、福島の原子炉直近で保管していた使用済み燃料棒がひき起こし、放射能を放出した火事は、安全よりも利益を優先している一例に見えるとアンドレーエフ氏は語っている。
"日本人は、非常に貪欲で、使える空間を全て利用します。しかし、プールに使用済み燃料をぎっしり詰め込めば、水がプールからなくなったら火事になる可能性は非常に高くなります"と、アンドレーエフ氏は語っている。
企業の建屋や、稼働中の原発に近すぎると主張して、IAEAも、この基準には責任があります、と彼は語った。そして、ウイーンに本拠を置く機関が立ち上げた緊急事故対策チームは、"実働部隊ではなく、シンクタンクに過ぎません"と、彼はにべもなく言った。
"あらゆる組織は原子力産業に依存しているので、見せかけの組織に過ぎません。IAEAは原子力産業に依存しており、適切な行動をとることはできません。
"彼等はいつも真実を隠そうとするのです。"
"IAEAは... 原子力産業で起きる可能性がある事故に対して注目を集めることに興味はないのです。彼等は全ての緊急対応組織に全く関心がありません。"
アンドレーエフ氏の批判に対し、直後のIAEAコメントはない。
福島で日本の当局が体験したことは、いやというほど私は理解しているが、漏洩をくい止めるには創造的な解決策が必要だろうと、アンドレーエフ氏は語っている。
"静かなパニックのような状況です。私はこの状況を知っています"と彼は言う。"この業界では規律が一番大事なのですが、緊急事態対応には、独創力、ある種の想像力や臨機応変のようなものさえ必要なのです。"
記事原文のurl:in.reuters.com/article/2011/03/15/us-chernobyl-clean-up-expert-slams-japan-idINTRE72E7AL2011031 5
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この記事、日本でも記事になっている。たとえば下記。なぜかしら全文ではないので、あえて掲載。スペツアトム、汚染除去会社と元記事にはあるが、調べてみると、どうやら緊急対策組織といった方が正確におもえるので、あえて翻訳を変えた。
【放射能漏れ】日本の設計は「安全より経済優先」ロシア人原発専門家が批判
ユーリー・ボリソビッチ・アンドレエフ氏、1986年4月のチェルノブイリ黒鉛減速炉原子力発電所の暴走事故発生時、原発Unit2の主任技師だった。こちらのインタビュービデオ の人のようだ。(ロシア語だろう)
追記:2011年3月18日10時58分東京新聞記事、チェルノブイリの教訓生かされず 福島原発事故で被害者団体 で、「チェルノブイリ原発事故の被害者団体「チェルノブイリ同盟ウクライナ」(キエフ)代表で、元同原発技師のユーリー・アンドレエフ氏(61)」と紹介されている人が本記事の人物。
複数の沸騰水型原発、運転停止はしたが、核燃料、使用済み核燃料の冷却機能が完全に失われた福島原発と、暴走したチェルノブイリ、事故の性質は全く違うだろう。それは素人でもわかる。
とはいえ、膨大な放射性物質が放出される懸念という点では、全くの別物とはいえまい。飛散の可能性がある核燃料の量に至っては、チェルノブイリより多そうだ。あちらは、原子炉三基、こちらは、6基。
しかも、猛毒のプルトニウムまで、核燃料に使っている。広瀬隆著『原子炉時限爆弾』、まるで予言書そのもの。世界初のプルトニウム飛散という悲惨な結末がまっている。世界中の専門家はそれを知っている。広島・長崎ではアメリカに原爆を落とされた。一方、福島原発の放射性物質による被害、政・官・財・マスコミ・学者たちの自己責任?独断による、壮絶な国民総モルモット実験の結果。(小生、ものごころついて以来、原発建設に賛成したことはない。インチキ・プロジェクトを、住民・国民を安全だとだまして推進して、儲かる連中と、だまされて、被害にあう人、人数も収入も天地の差だろうに。儲けは自分たちに、損害は国民に。素晴らしいエリートの皆様。彼等を支える素晴らしい国民おられればこそ。)
広瀬隆氏の最新記事、ダイヤモンド社のサイトで読める。「破局は避けられるか――福島原発事故の真相 」
自衛隊ヘリコプターで水を投下する予定だという話で、チェルノブイリの使用済み機材置き場を思い出した。こちら 「閉ざされた大地、チェルノブイリ原発事故から15年目」に詳しい報告がある。
「一般住民に健康被害はない」という旧ソ連政府の偽りの報告を住民、国民は怒っている。と、報告にはある。
「一般住民に健康被害はない」という日本政府、偽りの報告はないと祈りたい。できることならば。
そもそも、問題の原発、本来は装置寿命だったようだ。廃炉にすべきだったろう。外国報道(たとえばBusiness week )では、そう報道されている。ちなみに、このBusiness week記事には、尊敬する石橋克彦氏のコメントが載っている。反原発活動をしておられる田中三彦氏のコメントも。日本のマスコミ、連日の報道でも、決してこのお二人は登場しない。ブラックリスト?さすが宗主国の調査能力。誰が本当のことを言っておられるか、把握した上で、活用、報道している。
毎日新聞には、下記記事があったらしい。いくつものブログに、記事の写しはあるが、本家の毎日に、その記事見あたらない。削除されているのだ。事実ならば、寿命を、ごり押し延長し、延長許可したのだろうか。安全性より、経済性優先で。組織の凶暴共謀。TVも新聞も、この延長の話題、一切触れない。不思議な蜃気楼。
<東京電力>福島原発の稼働延長など申請 運転40年迎え(毎日新聞)
2010.03.27
東京電力は25日、来年3月で運転開始から40年を迎える福島第1原発1号機(福島県大熊町、沸騰水型、46万キロワット)について、さらに20年間の運転が可能とする技術評価書と、今後10年間の保守管理方針を原子力安全・保安院に提出した。40年超の運転が認められれば、既に廃炉を表明している日本原子力発電・敦賀原発1号機(福井県敦賀市)、関西電力・美浜1号機(同県美浜町)に次ぎ国内3例目となる。
福島第1原発1号機は高経年化に合わせて配管などの交換作業を進めてきており、東電は「大部分の機器・構造物は、現在の保全活動を継続することで40年目以降も健全に維持できる」としている。
高嶋哲夫『津波』集英社文庫、昨日読み終えた。彼の『M8』は以前読んでいた。ノーベル賞候補かどうかは別に、世界向け発信に値するだろう。著者、元原発関係者という経歴があるためか、原発事故については甘すぎて、今の日本とは大きく違っている気がする。津波そのものについては、あわてて昨年刊行された『津波災害』-減災社会を築く 河田惠昭著を読んだ。著者、当然、テレビ出演しておられる。この本を読むと、「想定外」という言葉を連発する皆様、小生にとっては、そのIQか人格のいずれか、あるいは両方が、「想定外」の方々におもえる。:-)
TPPで、日本の農産物も、品質さえよければ、世界に輸出する可能性が広がるという屁理屈があったような気がする。もはや日本産というだけで、農産物や牛肉、競争力をうしなったろう。放射性物質は長く残る。世界中で大人気の日本料理も、「材料は日本産ではありません」という看板が不可欠になる。世界の人々、この大惨事を永久に忘れまい。チェルノブィリの場合、全くの秘密裏で、スウェーデンによって暴露されるまでわからなかった。今回は、チェルノブイリ並(以上か?)の大惨事対応のダッチロール状態が、終始、世界に配信されている。
我々中高年も、頑張って、危険覚悟で消費するしかなさそうだ。生き残れたら。(ただし、財力欠如の小生、もちろん牛肉消費は「想定外」。)
追記:
2011/3/17 とうとう宗主国の日大使館、在日同胞に「80km以上離れるよう」勧告をだした。この発表、まともな判断力を持つ政府・人間がすべき「想定内」の行動だろう。残念ながら、属国政府・マスコミよりも、信憑性ははるかに高い。
故平井憲夫氏の『原発がどんなものか知ってほしい 』も、是非お読みいただきたい。
観光立国の夢も、大量移民の夢も、これで蜃気楼と化した。医療・介護、3K労働、いくらお金を積んでも、特攻隊精神の持ち主、世に満ちてはいないだろう。
悪名高いアメリカ名産無人飛行機がいよいよ登場するようだ。イラク、アフガニスタン、パキスタンで暴虐な市民殺戮で大活躍中のグローバルホーク。世界で初めて人助け?に使われる。福島原発専用監視カメラ、大気汚染サンプリング測定という触れ込みで。これは、たしかに本物の『想定外』事態。この高価な殺人・偵察用無人飛行機メーカーにとって、夢のような売り込み宣伝の機会。日本中の国民がテレビで洗脳される。もちろん、ついでに何機も買わされるだろう。次は沖縄配備?そして、今後は偵察・殺人という「想定内の」用途で活用されるだろう。
写真1 放射能に汚染され、使用できなくなった装甲車やヘリコプター=ウクライナ・ラッソハ村で、大島秀利写す
■写真2 今も汚染が続き閉鎖された遊園地=ウクライナ・プリピャチ市で
■写真3 コンクリートなどで覆われたチェルノブイリ原発。今も高線量の放射線が飛び交う
■写真4 事故処理で死亡した消防士の像=ウクライナ・チェルノブイリ市で
■写真6 発電所とプリピャチ市をつなぐ陸橋。事故の夜、見物人が橋の上に集まったと言われている。