おれは、小さい頃から、父親が割と資産家
だったため、思いっきり過保護に育てられた。
弱輩の頃は、誰だって夢を持っているが、おれは、
本当に、なー-んにもしなかった。両親や親戚が、
なんでも与えてくれるし、なんでもしてくれるから。
おれの場合は、ただ、手前勝手なナルチシズムを
持て余してただけである。にんげんの心理としては、
「おれは、ただ、おれだから偉いんだ」という、誠に
手前勝手な心理がある。じゃ、何が偉いのかというと、
具体的なものは、じぇーんじぇーんありません!!
ただ、にんげんのエゴというものは、自分自身を価値
値打ちで、いっぱいに満たしたがるものだ、そして、
それを、周囲の人たち、世間の人々に認められることを
良しとするのである。人は本質的にそういうものだ。
人は自分の価値をじぶんで決められる程、強くはない。
何しろ、軽蔑というやつには誠に耐えられぬ・・。と、
まあ、理屈では充分分かる。・・・どうだ、この、おれ様の
何から何まで、自分勝手なこと。おれ様が一生ウダツが
上がらなかったのも当然だわな。おれは、父さんが元気
だった頃、おれは父さんに言った。「父さん、結局、僕の
取り柄は、父さんが金持ちだということと、僕自身が
精神分裂癖が強いということだけかな?」父さんは、
笑いながら、「そんなことないべや」と言ってた。
結局、おれって、我ながら何だったんだろね??
夢とかって何だろね。ばかたれめ、おれはおれだ、
おれ以外の何ものでもないぞ。(我ながら取り乱しとる。)