角川ソフィア文庫、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の、
「日本の怪談」パート1,パート2であります。ハーンは
短編しか書いてませんが、私は、カッコつけてるわけでは
ありませんが、知ったかぶりするわけではありませんが、
ハーンの小説は、宮沢賢治と同じで、子どもから老人までが
読んでもいい文学だと思っております。ハーンの小説は、
一口で言うと、侍の時代、封建時代のロマンス、ラブストーリーだと
思います。例えば、ある若い侍が、ひょんなことから、ある娘に
一目ぼれしてしまい、しかし、彼女は、名まえも分からないし、
どこの土地に住んでるのかも分からない。侍は毎日、尼寺の
弁財天の像の前で、「彼女にちょっとでもいいから逢わせて
ください」と、熱心に祈り続け、やがて、侍が就寝中、夢の中に
弁財天が現れ、「どこそこに行けば、彼女は居るよ」と、お告げが
あって、侍が、例の土地に赴くと、彼女が本当にいたという話し
とか、相思相愛の夫婦がいて、やがて、妻が病死し、夫は毎日
哀しい想いをしているわけですが、ある日、真夜中にひょっこり、
幽霊になった妻が、夫の自宅にやって来て、夫婦で仲良く
一晩過ごしていて、やがて、夜明け前近くになると、妻は「そろそろ、
私は、おいとまします」と、男の家を離れ、男はいつの間にか
寝ていて、明朝、目が覚めると、布団の中に妻の位牌があった
というのに気付いたりとか、そういう話しが多いように思います。
ハーンは、ぶっちゃけ、幽霊とかオバケとか輪廻転生(生まれ変わり)
とか、前世とか、そういう話しが好きなようですが、彼の小説は、
決して、ただの、他愛ないホラー小説とか怪奇小説とかでございません。
事実、彼の小説を、「怖かった」という人はおりません。
普通、怪奇、ホラー小説というのは、グロテスクだし、興味本位
的な目で見るものですが、誰も彼の小説を、そう言う人はいないでしょう。
でも、大抵の人が、ハーンも宮沢賢治の小説も、「退屈だ」と
本を放り投げてしまうかも知れませんね。彼らの小説はエンターテイメント
では、ございません。私は、これからも、ハーンの小説を突っ込んで
読んでゆきたいです。日本の風習、ならわしを研究するにも
本編は、うってつけだと思います。私は、日本古来の神道にも、
関心があるのですが、ハーンは日本に初めて来た時、我が日本の
古事記を読んで、本編が大好きになったそうです。
以上、私は、カッコばかりつけて面目ございませんでした。