98年だった。

ある中年の男が馴染みの地下鉄に行き、改札口を

抜けると、いつもの通り階段を降りていった。

長椅子に高校2年生位の女の子が並んで腰かけて

いた。

女の子たちは、何だか世話しない。しきりに両足の

ルーズ・ソックスを上げ下げしている。当時、ルーズ・・

とやらは高校生女子の間では流行っていた。

そして、彼女たちは何やら、スカートの裾のあたりも

バタバタさせている。

男は、ちょっと見ると、彼女たちの電車が進む方向の

向かって右側にある誰も座ってない長椅子の真ん中

あたりに腰かけ、電車が来るのを待っていた。

気がつくと、女の子の一人が男の右側に座り、

「ちょっと、ちょっとすみませーん」とか言って、ルーズ・・

を相変わらず直したりしている。男は、?と思った。

男はそのまま普通にしていた。

しばらくすると、女の子はいつの間にか立ち、男から

150smくらい離れた処におり、

ちょっとななめ左前に、後ろ向きに立ち、背をかがめて

シューズの紐の手入れをしていた。何やらスカートの

中が見えそうである。

やがて、電車が来たので男は乗ったのだった。

男は就学生女子のことなど忘れていた。

 

男は数年たってから、ようやくにして、そういえば

当時援交というのが流行っており、「あの、お嬢さん

たちは、おれを逆ナンしてたのか・・??そういえば

キュートでセクシーな大腿部だったなあ」と、今頃に

なって悔やんでいるのであった。