僕は、平成ひとけたの頃でした。

 真夜中近く、僕の地元の歓楽街、あまり人の通ってない

あたり単身で歩いてました。いつも僕が通ってるとこでした。


 8階建てのいろんなクラブの店がある雑居ビルのとこ

通りました。僕はそこのビル入ったことはなかったですけど。

 ビルのロビーの外の手前のとこで、青いブレザー着た

ホステスのお嬢さんが、横向いて立ってました。

ポニーテールの凄い美人でした。それはいいのですが、

彼女のうしろにアラサー位のスナックのボーイ―みたいな

人が、中腰になって彼女のスカートを一生懸命めくろうと

していました。しかし、彼女のスカートは両大腿部の外側

にしっかりフィットしたスカートなので、そういうのはめくり

にくいのです。男性は二ヤけた顔して、なんとかめくり上げ

ようとしてました。

 それにもまして、彼女は少しも動ぜず平素とまるで異なり

ませんでした。左腕にはハンドバッグ肘にかけ、たまに

髪の毛に偶発的に右手をかけたりするだけでした。


 僕は立ち止まって、しばらく魅入っておりました。

 やがて、僕はそこのとこから立ち去っていった

のでした・・。


 これは、店に客の目をひいて来店させるための

商売上手だったんだろう。そのお嬢さんはなんて

演技力抜群なんだろう。凄い名パフォーマンス

だったなあ。