ジクトルテープ(全身作用型貼付剤)は、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)の貼付剤です。

皮膚からゆっくり吸収され、血管内に取り込まれると、内服と同じように全身に効果を発揮します。

見た目は湿布ですが、湿布とは作用の仕方も使い方も異なります。当初は癌の痛みにしか使えませんでしたが、腰痛症などの整形外科疾患にも使えるようになリました。

見た目が湿布なので、時々、間違った使い方をしてしまう方がいます。

貼付部位には、「血流が豊富で薬の成分を十分に吸収できる場所」を選択する必要があります。
手首が痛いからと言って、手首に貼ってもうまく吸収できず、十分な効果が得られません。

痛い場所に関係なく、胸、腹、上腕、背中に貼りましょう。

腰や大腿は貼っても良いことになっていますが、他の部位と比べると少し吸収が劣ります。

必ず「痛い場所」ではなく「指定された場所」に貼り、かぶれないように貼る場所は毎日変えて下さい。

また、24時間貼り続けることで効果を発揮しますので、ちょっとだけ貼って剥がすという使い方では十分な効果が得られません。血中濃度が安定するのに1週間かかりますので、即効性を求めるのであれば、内服薬の方が良いでしょう。

ジクトルテープの最大のメリットは貼るだけで内服と同じ効果が得られることです。

内服ができない方でも安定して使えますので、内服が難しくなった癌の患者さんでは非常に有用です。

同じ成分の内服薬と比較すると、胃腸障害のリスクを大きく減らす点も良いところです。

NSAIDsを使いたい状況だけれども胃腸障害が心配な方には良い適応かと思います。

しかし、胃腸障害の可能性はゼロではありませんので、消化性潰瘍が既にある方には使えません。

全身に取り込まれますので、内服と同様に、腎機能障害や肝機能障害を生じる可能性がありますし、妊娠中の方にも使えません。

良い薬ですが、使い方を間違うと効果が得られませんし、有害事象を生じる可能性があります。従来の湿布薬とは全く違う薬として、性質をしっかりと理解して使う必要があります。主治医の指示通りに正しく使ってください。

■効能又は効果
各種がんにおける鎮痛

腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎

■用法及び用量

〈各種がんにおける鎮痛〉
通常、成人に対し、1日1回、2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替える。なお、症状や状態により1日3枚(ジクロフェナクナトリウムとして225mg)に増量できる。

〈腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎〉
通常、成人に対し、1日1回、1枚(ジクロフェナクナトリウムとして75mg)又は2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替える。