こんにちは😊
夜勤明けの雪姫です✨️
夜勤で整形の患者さんの入院があったけど
比較的落ち着いた夜勤だったので
合間に「満天のゴール」を読んでいた(笑)
そしたら
ある患者さんのことを思い出した。
あれは私がICUの勤務だった頃
肺炎で入院している患者さんが私に言った
「もしも私になにかあったら、絶対に延命治療はしないでください」
肺炎はなかなかスッキリせず、一般病棟に出れずにいた患者さんだったので、気持ちが落ち込んでいるのかと思って、「そんなこと考えていらっしゃるんですか?大丈夫ですよ、きっと元気に帰れます」と、特に確固たる自信はないんだけれど、患者さんを元気づけようと思って私が声をかけると
「ずっと前から思っているんです、もう十分生きたので。何かあったら、もう何もしないでね」
患者さんは別に落ち込んだ様子ではなく
私の目をみてはっきりと仰った。
そして、オーバーテーブルに置いた書かれた紙を見せてくれた。そこには几帳面な文字でこう書かれていた。
「延命治療は希望しません」
私はもう90前になったその患者さんの心からの願いであると感じて
「分かりました、何かあったら、その意志を優先しましょう。安心してください」
私はその日は準夜勤だったので
患者の意志をドクターや看護師みんなに伝えようとカルテに記入して、
夜の業務を行った。
準夜勤がそろそろ終わろうする時間だった
深夜の看護師に送りを行って
残務処理をしていると
あの患者さんのモニターが何か気になった
よく見てみると
先程まで問題なく刻んでいた脈が
少し落ちていることに気が付いた
「ブロックだ……」
モニターを振り返って見ると少し前からブロック波形になっている
Ⅰ度のブロックから少しずつⅡ度のブロックに移行している
アラームがなる
「完全房室ブロック!!先生呼んで!!」
たまたまその日の夜勤が循環器のドクターだったので、即、ドクターコールと家族にコールをして
間もなくドクターが到着した
ドクターが慌ただしくカルテをみて
動き出した時に
私は夕方、彼女が懇願した言葉を
そのドクターに伝えた
オーバーテーブルに置いた自筆の「延命治療を望まない」と書かれた紙を持って
ところがドクターは信じられない言葉を発した
「この患者の病名は肺炎だ。肺炎が悪化してなくなるのならわかるが、不整脈という急変なら処置をするのは当然だろう!!!!」
と、ベッドを押して一時ペーシングに出るという
もはや止まりそうな心臓をマッサージしながら
私はそれがどうしても分からなかった
患者さんの意志を完全に無視しているように思われて、あんなに私にお願いされたのに
その意志が全うされないことに悔しさを感じた
医療者側からすれば急変の対応をすべきだとしても
患者さんにとってはそれは運命で
延命治療は望まないはずだと思ったので
先生が引っ張るベッドを全力で止めて
「止めてください!!患者さんが望んでません!!」
「何をしてる!!!」
ドクターに叱られながら抑えたけれど
ついに
強引にカテーテル室に連れて行かれた患者は
カテーテル室に入ることなく
その部屋の前で
心臓マッサージをされながら
去って逝かれた
真っ暗な廊下で
マッサージによって
肋骨が数本折れた状態で
ICUに帰って来られたその患者さんに
私は懺悔した
「無駄に痛い思いをさせてしまってすみません。上手く伝えられなくて、ごめんなさい」
今の自分なら
あの時のドクターを止められただろうか
多くの人は病院で死を迎える
でも本当は
出来るなら家で、家族に見守られながら逝きたいと思ってる人が多いと思う
病院に入ってしまうとどうしても自分の思ったような最期を迎えることは難しい
でも、Iドクターは
自分が診ている地域の患者さんには
「死に方を自分で決めることを進めている」
延命治療はしないで痛みだけ取って欲しい
好きな物を最後まで食べたい
家族と出来るだけ一緒に居たい
家で死にたい
人は亡くなる時は
老衰が一番楽なんだと
何かで読んだんだけど
食べれなくなって
身体の水分がなくなって
見た目は辛そうだけれど
本人は眠るように吸い込まれるように旅立てるんだと
最近、夜間に癌の末期の患者さんが発熱で入院した
次の日
Iドクターが言った
「この患者は僕の患者だ。この患者は入院してはいけない患者なのですぐに退院させる」
翌日
解熱剤を処方されて患者さんは自宅退院された
普通なら塩酸モルヒネを使用しながら
入院を続けるであろうケースなんだが
自宅に退院された
それが患者さんの意志だから
Iドクターの行かれる地域の患者さんは
Iドクターを神様だと
まるで新興宗教のような崇められ方をすると
噂を聞いたことがあるけれど
患者さんにとって
信じられる医師は
Iドクターみたいに
患者さんの意志を優先出来る医師なのかもしれない
「満天のゴール」を読んで
強く思った。
病院ってなんだろう🏥
そんなこと思いながらため息ついていたら
不意に
こんな贈り物が届いた