写真拡大 8月31日、7月鉱工業生産が大方の予想に反して鈍化し、先行き生産予測が悪化したことから、震災前の水準に戻らないうちに生産や景気が再び減速に転じる懸念が急速に高まってきた。写真は5月、京浜工業地帯で撮影(2011年 ロイター/Toru Hanai) [東京 31日 ロイター] 7月鉱工業生産が大方の予想に反して鈍化し、先行き生産予測が悪化したことから、震災前の水準に戻らないうちに生産や景気が再び減速に転じる懸念が急速に高まってきた。
円高や海外需要の減速はすでに一部で影響し始めているが、はっきりと生産の数字に表れるのは10─12月になりそうだ。従来、震災からの生産回復により年率4─5%の高い成長が見込まれていた年後半の景気に暗雲が立ち込め始めている。
<増産予想がひっくり返るサプライズ>
31日発表された7月鉱工業生産指数は、エコノミストの間でネガティブサプライズとなった。7月の生産が前月比でわずか0.6%の上昇にとどまったほか、節電期間が終了する9月の生産計画が8月より2.4%低下したためだ。7月の生産鈍化の大きな要因は、震災からの供給制約が解消してきたため、遅れていた生産を挽回するペースが徐々に緩やかになってきたことがある。しかし、9月の減産はむしろ、需要自体の落ち込みが主因とみられている。
国内需要の影響では、情報通信機械や電子部品などハイテクセクターは、地上波デジタル移行前の駆け込み需要の反動で8、9月ともに減産計画となっている。
輸出も頭打ちとなりつつある。実質輸出はすでに7月の伸びが前月比わずか0.3%にとどまっている。また、先行指標となる製造業PMI(マークイット社集計)で8月の海外からの受注が低下していることにも表れている。
ニッセイ基礎研究所・主任研究員の斉藤太郎氏は「電力不足の影響が緩和される9月の生産計画がマイナスとなったことは、海外経済の減速や円高の進展を受けて企業の生産計画が早くも慎重化していることを示している」と指摘する。
<10─12月は減産の可能性も>
7─9月の生産は、見かけ上は5四半期ぶりの上昇に転じることは確実だ。ただし、6月までの右肩上がりの回復により、いわゆる「ゲタ」をはいており、発射台が高い。このため、「仮に、6月から生産水準が横ばいだったとしても、7─9月期平均は前期比で約4.5%の増加となる」(大和総研・チーフエコノミストの熊谷亮丸氏の試算)。
今回発表された生産予測指数を前提に経済産業省が試算したところ、7─9月は同6.3%の伸びになる見込みで、ゲタを除くと2%程度の伸びにとどまりそうだ。通常の景気回復期と同程度の伸びにとどまり、震災後の回復局面としては物足りないと言えそうだ。
10─12月は伸びがさらに鈍化するとの見方が浮上している。伊藤忠経済研究所・主任研究員の丸山義正氏は「海外経済減速の影響は10─12月期に生産を下押しする可能性が高い。輸出の減速が鮮明となれば、10─12月期の生産は前期比でマイナスに転じる可能性もあるだろう」と予想。円高の影響も、通常1、2四半期おいてから輸出数量に影響してくるため、むしろ今後の輸出に下押し圧力がかかってくるとみられる。
クレディスイス証券では、7月の予想を下回る生産実績やグローバル景気の先行きに対する不透明感の高まりからすると、現在の予想に一段とダウンサイドリスクが生じてきたと指摘している。
<元に戻る前に生産腰折れも>
景気をみる上で最も大きな材料となる生産の増勢は、ここにきて明らかに鈍化している。これまで、秋には大震災前の生産水準に戻るとの予想がほぼコンセンサスとなっていたが、そうした期待はしぼんでしまった。
ニッセイ基礎研の斎藤氏は「海外経済の動向次第では、リーマン・ショック後と同様に、生産が元の水準に回復する前に腰折れしてしまう恐れもあるだろう」とみている。
来年に入れば、第3次補正予算の成立を受けた復興需要が期待されているが、ある政策当局者は「復興需要もワンショットの需要であり、景気の下支え程度にしかならない」と、さほど期待していない。やはり外需の影響が大きいとの見立てだ。加えて、原発の再稼動問題は今後も、生産や景気にとって予断を許さない材料となる。
新政権がまもなく発足することになるが、「増税・財政再建への意欲ばかり目立つ野田新首相だが、復興を順調に進めるためには早急に電力問題や円高・デフレ問題などに対応することが求められており、日銀も巻き込んだ政策展開が必要」(農林中金総合研究所・主任研究員の南武志氏)などと、早くも景気対策への催促が強まっている。
(ロイターニュース 中川泉;編集 石田仁志)
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