【 OC44 と OC71 】
Dallas Rangemaster のゲルマニウムトランジスタは、MULLARD製の OCナンバードが使われて、OC44 がポピュラーであるものの、T.REX のマーク・ボランが OC71版を使っていたとの噂もあり、こだわるファンも多いよう。
OC44 より OC71 の方が電流や電圧の最大定格値が大きいものの、増幅できる周波数は同じのようです。
実際の音も「変わらない」という意見もあれば、「違う」という人もありで。。
ゲルマニウムトランジスタ自体が個体差や使用環境に影響されやすいから、統一見解は難しいのかもしれません。
耐圧違うということは作りが違うということなのだから、実際は違うんでしょう。
コンデンサーなんかも耐圧の違いで音が変わることを実感したこともあるし。
OC44 を幾つか用意して、違いを確かめてみることに。
ebay 覗くといろいろ出品されてます。
hFE値を表示してくれてる中から物色し、hFEが60〜80のMULLARD製3個セットと、90の
Phillips製1個を買ってみました。
届いた OC44 の hFE をテスターでチェックすると、説明のあった値より総じて高い。
そーいえば出荷元はフランスでした。
緯度が10度以上違うんで、日本の方が暖かくて hFE が上がったのかな!?
今回、大いに参考にさせてもらったのが ELECTRO SMASH に掲載された Rangemaster の分析記事。
OC44 について、幾つか重要なことが書かれてます。
【最適な OC44 の基準】
- hFE は 90 が最高。75〜100 の範囲ならバッチリ。
91 があるんで、これを基準にできますね。
これより低くなる、高くなるでどう違うか違わないか確かめられそうです。
【バイアス】
- 音はバイアスに超依存する。普通トランジスタは周波の真ん中にバイアスされ、歪みのない大きな信号を作れるけど、OC44は非対称の周波なのでバイアスが中心からずれる。
なるほど。いびつな周波ですね。
- エミッタ(E) 8.2V、コレクタ(C) 2V、ベース(B) 8V になるようバイアスする。(それぞれ ±0.1Vの許容)
- 69kΩ の R2 の抵抗を、100kΩ か 200kΩ のトリムポットにすると調整が容易になる。
基本は回路図に従って作るけど、使用する部品に応じて最適なバイアスを得ることが大切なようです。
【プルダウン抵抗】
- Rangemaster はギターと直接つなぎ、そのままアンプにつなぐことを想定して設計されてる。
- だから Rangemaster の前後にペダルをつないでオン・オフするとポップノイズしやすい。
- 自分の使い方に応じて、プルダウン抵抗をペダルの入出力に追加した方が良い。
テストでは他のペダルを使わないし、実戦投入となれば MS-3 に組み込んじゃうんでポップ対応は不要ですかね。
【設計】

