吉祥寺で観劇してきました。 |
…さて、先に言っておきます。
私は自分の本当に好きなものを人に勧めることが滅多にないです。
それは、
もし私に何かを勧められたことがある人は、私が信用しきっているからorこの人なら私と共感してくれると思った人です。どちらにしても、生クリームのように勇気を振り絞ってやっと出てきた「お誘い」です。
本当に告白かってぐらい、人と時を見計らい緊張しながら言ってます。
この日記の内容は大好きな劇団の感想なんですが、上の以上をふまえて、それでも敢えて、舞台を好きと思う人、特に震災後に「舞台とはなんだ」と悩んだ人には見てもらいたい…といいますか理解してほしいといいますか…そういう内容になっています。
今回の演目は少年社中さんの『天守物語』
泉鏡花の原作ですね。
内容に大地震がでてきました。
恥ずかしながら原作を読んだことがないので、知っている方は間違っていたら指摘してほしいのですが、原作では地震ではなく嵐だったような感じなのですね。
劇中の話の流れは、大地震で人が大勢死に、その地震はアヤカシの仕業だと思い人がアヤカシたちを虐殺してしまう、というように演目の根本にある重要な位置に地震がありました。
実際に、地震の演出もクライマックスでしっかりありました(注:本当に揺れるわけではない)
正直に「凄いな」と思いました。
この演目は震災の起こる前から演出さんが決めていたモノだったようで、要は震災は偶然で、でもその偶然を目の前に「やらなければ」という気持ちになったそうです。
パンフレットの「脚色・演出あいさつ」から抜粋しますが、
『~この数年を日本人がどうやって生きるかが問われているような気がします。どんなに生きたいと思っても、死んでしまう人がいる。
そんな現実を前に少年社中一同、誠心誠意向き合ってこの作品に取り組みました。』
震災後は「舞台は所詮は娯楽か」など、いろいろと悩み、考えさせられ、打ちのめされました。時間の経った今もそう思い続けているわけではないけど、全く思っていないと言えば嘘になる。
今回の社中さんは、あえて地震のある舞台をつくりあげ上演し、実際に観た私は
『人が震災を乗り越えようとするように、舞台もあの震災を乗り越えようとしている』
そう強く感じました。
ラストの、生きた者も死んだ者も、みな一同になって壇上で「命を燃やして踊れ!」と激しく祭り踊りをしながら暗転していくさまには本当に感動しました。
役者は滝のように流す汗をまき散らし、睨むような鋭い目つきで、2時間動き通しの人は思えない力強い動きの踊り、まさに「命を燃やして演じる」という迫力が衝撃波のように伝わってきた。
こんなに全身全霊な役者たちが演じるこの舞台は幸せだ、そんな舞台を見れた私は幸せだ、舞台を好きでいる自分は幸せだ、好きな舞台を作ることができた自分は幸せだ…!
この舞台を見て舞台を好きという気持ちが爆発した私の前に、震災からのもやっとした形のない悩みと不安が一気に消し飛んで行く気がしました。
この舞台は、舞台を娯楽と思う人たちの概念からの脱却を図り、そして、
実際に私の中の「娯楽か」という拭えなかった悩みから脱却させてくれました。
若輩ものの私がいうのもなんだけども、実に格好の良い舞台人の生き様を見せつけられる、あっぱれな舞台でした。
心から「ありがとう」と、感謝を述べたい、そんな舞台でした。
このテの話には賛否両論はあると思いますが、この私の悩みに終止符を打ってくれた感動の気持ちだけは譲れません。だからこそ、振り絞りました。
最後まで読んでくれた人がいましたら……ありがとうございます。