皆さん、おはようございます。

 

私の執筆への熱量が残っているうちに書いていきます。

 

今日は各部位毎に書いていきたいと思います。

 

今回の記事はフロントハブ&ナックルについて書きます。

 

前々から書いていますが、全体的にメンテナンスされてないような車両に関しては、先ずは制動装置(ブレーキ)、舵取り装置(ステアリング)からやった方が良いですよ、とお話させて頂いています。(※エンジンが取り敢えず普通に動いている場合です)

 

走行中にブレーキが利かなかったり、ハンドル操作が出来なくなったら、それこそかなりヤバい状況ですから、エンジンは二の次と思ってください。

 

さて、本題ですが、昨日の画像です。

フロントハブはオーバーホール済らしいですが、怪しいのでオーナーさんに購入先の業者さんに確認してもらったところ、ハブはベアリング交換はして、ナックルはやっていない(開けてない?)とのことでした。

 

ハブをやったらナックルもやった方がベターです。

 

前々から書いていますが、ハブベアリングよりキングピンベアリング(ナックルベアリング)の方が損傷することの方が断然多いです。

 

※別のランドクルーザーの画像です。

 

ベアリングそのものはハブよりキングピンのものの方がかなり小さいです。そして、キングピンの特に上側のベアリングがグリス切れでカラッカラになって、ローラー部が減ってガタついたりします。

 

何でかって?グリスニップルなど付いていないので定期的に給油出来ないこと。

 

下側のベアリングはナックル内のグリスが潤滑の手助け(オイルやグリスは高いところから低いところへ流れますから)をしているから上側ほど摩耗しません。

 

ハブだって同じだろって?確かにグリスニップルは付いていませんが、ハブ内にグリス溜まりがあって、まともに整備されている車両ならグリスが充填されています。

 

またベアリングそのものの大きさ→容量や耐荷重の大きさの差もあると思います。

 

ハブベアリングは車体の重さをスピンドルを介して支えています。キングピンベアリングは字の如くキングピンの軸を支えています。

 

どちらがヘビーデューティか・・・車重を支えている方です。だからそれに見合うものが取り付けられていると思います。

 

また、ハブは定期的にアウターベアリングだけ外してローラー部の確認も出来、給油して、簡単に組み直したり出来ますから、それなりにメンテし易いです。

※本来ならハブAssyを外してインナーベアリングも確認したいところです。

 

ナックルベアリングはナックルを分解しないと確認出来ませんし、、、まあ、そこが面倒臭いところなんです。

 

消耗品(ベアリングやガスケット類)の交換と共に大事なことですが、組み付け方法です。

 

当たり前ですが、組み方が駄目だと、何をやっても良い結果が得られません。

 

全ての工程において、「トヨタ純正の特殊工具を使え」と言っているのではありません。修理書等を読んで理解して、それに準ずるように頭や道具を使って組んでくださいね、ということです。

 

今回ご依頼頂いた車両ですが・・・

内側に1枚折られていましたが、外側に2枚爪が折られているのは、まあ良いとして、、、完全に折れていない。

 

また、ここはタガネなどで叩いても良いわけありません。しかもロックナットはあんまり締まってなかった。。。

 

クローワッシャーの段付き、ロックワッシャーの爪折れ、、、再使用してても良いこと無いです。数百円のものです。

 

 

赤いグリスと青いグリスを使い分けているのは別に構いませんが、ハブ内のグリス少な過ぎです。

 

 

スピンドルは・・・

 

 

ベアリングの取り付け部、摩耗、段付き、、、消耗品です。定期交換推奨です。

 

続いて・・・

 

 

スプリングワッシャーが無い個所を発見しました。

 

赤色でタッチペンしているのは、緩めばボルト頭とダストシールの合わせ面がズレますから、確認用なんでしょうけど、、、これはアウトです。無ければ無いまま組んでしまうなんて、論外です。しかも大事な部位です。こういう組み方されていると、締め付けトルクなんてのも、まあ、適当だと思います。

 

もう、お分かりですね?

 

記録簿にハブオーバーホールの記載がありましたが、、、この車両はナックルも開けてます、多分。

 

開けてみました~

 

 

キングピンベアリング(上側)に赤いグリス(ハブグリスと同じ)が付いてます。ハブと同時に組まれていると思います。

 

ベアリングキャップのスタッドもナットではなく、ボルトから緩んでしまいました。

 

私は脱脂して、ネジ山修正して、嫌気性のネジロック剤を使って締めこみます。(最近はスタッドボルトも交換してしまいます)

 

上の方で「組み付け方法」の話に触れましたが、、、その関連動画を先日Instagramに載せました。

 

オーバーホールや組み直しをしているのに起動プリロード(シム調整)や締め付けトルクを無視して組むと、、、良いことありませんよね。

 

先日車検整備をしたBJ46Vの画像ですが、ナックルの起動プリロードやハブの起動プリロードの測定ですが、バネばかりを使って行います。

 

Instagramの動画を観て頂ければ分かりますが、かなり軽いです。

 

軽いってことは、緩いってことです。これでは直ぐガタつきます。

 

ナックル上下のシムも結構な厚みでした。測定して「センター出し」もされていないと思われます。

 

ナックル裏のナックルシール類やドライブシャフトオイルシールも新品だったので、「バラしてる」と断定しました。

 

 

以上のことから、私が組み直します。キングピンベアリングは新品で、ハブベアリングは確認して再使用か新品か判断します。

 

 

※考え方、やり方等は修理書等を参考にし、私個人の経験から導き出したもので、絶対的な正解ではありません。参考にされる方は自己責任でお願い致します。または出来る人にやって頂くのが無難だと思います。

 

続く・・・