あんずは既に息絶えていました。

抱きつくとまだあたたかくて……。

当たり前だけど、ピクリとも動かなかった。

 

獣医さんが頭を下げて。

 

「すみません。夕方お母さんが来られた時にはお話ししたのですが。あぶないなーって思ってて。検査のために少し離れて戻ったら、呼吸が止まっていました。もうちょっと早くお呼びすればよかったのですが」

 

あぶなかった、そんな話は初めて聞いた。

今日点滴・検査して明日でも迎えに来るかと聞いたよね。

でも私が金曜日は仕事で遅くなて迎えに行けないから土曜日お迎えってことで話はついていたのに。

 

鼻とお尻に詰め物をしてもらい、返してもらいました。

 

つかまろうとしないあんずは、力なく私の腕に横たわるだけで。重くて。

本当によく頑張ったね、そばにいてくれてありがとう。

 

獣医さんにお礼を言い、病院を後にしました。

 

 

実家に連絡すると、自転車で両親が駆けつけてくれました。

 

実家ではGレトリバーを飼っていて、同じ獣医さんにかかっています。

心臓が悪く、母は夕方に内服を取りに行ったようでした。

入院したことは話してあったので、面会にも行ってくれたみたいで。

ただ、その時は酸素ルームに入っており、ちょこんと座っていたとのことでした。

 

面会に行ったときには獣医さんより「あぶないかもしれない」と言われていたと。

つまり入院後に容体がどんどん悪くなっていったようです。

 

知らないのはうちだけだったみたい。

なんで教えてくれなかったんだろう……。