1月14日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)       1 月 7 日~ 1 月 11 日
       始 値  高 値    安 値  終 値  前週比
ドル・円   88.16 89.35(11) 86.83( 9) 88.95 +0.80
ユーロ・ドル 1.3075 1.3280(11) 1.3017( 7) 1.3253 +0.0184
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国内株・金利/米国株・金利
終 値  前週末比            終 値  前週末比
日経平均株価 10,801.57 +113.46 東京長期債先物  143.75 +0.43
ダウ平均株価 13,471.22 +36.01 米長期金利 1.895 -0.004
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*国債先物は2013年3月限。米国長期金利は10年物国債。
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<来週の主要経済統計等>
14日 豪11月住宅ローン許可件数 
    ユーロ圏11月鉱工業生産指数 
15日 独12月消費者物価指数 
    英12月生産者物価指数・英12月消費者物価指数 
    英12月小売物価指数 
    ユーロ圏11月貿易収支 
    米1月NY連銀製造業景気指数
    米12月小売売上高 
    米12月生産者物価指数 
16日 日本11月機械受注高 
    ユーロ圏12月消費者物価指数 
    米12月消費者物価指数 
    米11月対米証券投資 
    米12月鉱工業生産・設備稼働率 
17日 豪12月雇用統計 
    米12月住宅着工件数・建設許可件数
    米新規失業保険申請件数
    米1月フィラデルフィア連銀景況指数
18日 NZ第4四半期消費者物価
    中国第4四半期国内総生産(GDP)
    中国12月鉱工業生産指数 
    中国12月小売売上高 
    日本11月鉱工業生産指数 
    英12月小売売上高指数 
    米1月ミシガン大学消費者信頼感指数
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【前回のレビュー】日銀による一段の金融緩和への期待感や米長期金利の上昇から、1ドル=90円へ向けて上昇する展開が見込まれるとした。ユーロとドルではドルの方がやや強いが、一方的にドル高が進む状況でもなく、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.28~1.33ドル台でのレンジ相場が続きそうとした。
    
【日銀への圧力が強まる】
 9日に経済財政諮問会議が3年半ぶりに開催された。安倍総理や経済閣僚、日銀総裁などが出席して、政府サイドからはデフレ脱却へ向けた金融政策の重要性が強調され、日銀へ物価上昇率目標2%の導入などが求められた。
  
 この後、日銀はアナウンスメント効果を軽視していることが浮き彫りになった。日銀が経済再生に向けて積極的に動く姿勢を示していれば、市場の評価も高かったはずだ。ところが、白川総裁のコメントは「財政健全化に向けた努力が必要だ」と語るなど、自分たちが積極的に当事者として関わるのを拒むような傍観者的なコメントが繰り返された。
  
 11日には円高やデフレ脱却に向けた政府の緊急経済対策を閣議決定した。国の財政支出は10兆3000億円にのぼり、事業規模は20兆2000億円になる見通し。安倍首相は記者会見で、「長引くデフレと円高からの脱却が決定的に重要」「縮小均衡の再配分から成長による富の創出へと大胆に転換を図っていく」「日本銀行の連携による大胆な金融政策が重要」と強調した。
  
 デフレ脱却へ向けた政府サイドの日銀への圧力は相当に強まっており、1月21~22日の日銀金融政策決定会合では、物価上昇率目標2%の導入や追加金融緩和に動く可能性が高い。日銀の一段の金融緩和への期待感から、11日にはドル・円は一時1ドル=89円台前半まで上昇した。
  
 ドル・円は高値警戒感などもあって、利益確定の売りなどに押されて、9日に1ドル=86円台後半まで下落した。ただ、下げは続かずにすぐに上昇に転じており、市場の先高期待の根強さがうかがえる。今の流れが続くと、1ドル=90円乗せは時間の問題だろう。その後は節目達成感で一時的に下げそうだが、調整一服後は再び緩やかな円安局面へ向かいそうだ。
  
 今後の経済指標やイベントとしては、14日に豪11月住宅ローン許可件数、ユーロ圏11月鉱工業生産指数、15日に独12月消費者物価指数、英12月消費者物価指数、ユーロ圏11月貿易収支、米1月NY連銀製造業景気指数、米12月小売売上高、米12月生産者物価指数、16日に日本11月機械受注高、ユーロ圏12月消費者物価指数、米12月消費者物価指数、米11月対米証券投資、米12月鉱工業生産・設備稼働率、17日に豪12月雇用統計、米12月住宅着工件数・建設許可件数、米新規失業保険申請件数、米1月フィラデルフィア連銀景況指数、18日に中国第4四半期国内総生産(GDP)、中国12月鉱工業生産指数、中国12月小売売上高、日本11月鉱工業生産指数、英12月小売売上高指数、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数などがある。
  
【ECBによる利下げ観測が後退】
 欧州中央銀行(ECB)は10日の理事会で政策金利を0.75%に据え置いた。理事会後の記者会見でドラギ総裁は、「金融市場の状況が大きく改善した」と語った。また、政策金利の据え置きは全会一致だったと説明したことで、市場の利下げ観測が後退した。景気見通しに関しては、2013年は弱含みが続く見通しながら、年内に経済活動は段階的に回復するとの見通しを示した。
  
 10日には中国の貿易統計が良好な結果となり、ECBの利下げ観測の後退で、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.32ドル台後半まで大きく上昇した。ユーロのセンチメントは大きく改善しているが、足元の実体経済はさえない状況だ。8日に発表されたユーロ圏の失業率は10.8%となり、ユーロ導入以来、最悪の水準まで上昇した。また、 11月のユーロ圏小売売上高は前月比0.1%増、前年比2.6%減となり、大方の予想を下回った。9日のドイツの鉱工業生産指数も前月比0.2%増と、事前予想の同1.0%増を下回った。比較的良好な米国の経済指標と比べて、ユーロ圏の景気の鈍化傾向が鮮明になりつつある。
  
 米国では大型減税の失効と歳出削減が同時に起きる「財政の崖」は回避されたものの、連邦債務上限の引き上げが必要となる上、歳出の強制削減は2カ月先送りされたため、今後、与野党での激しい議論が見込まれる。協議の進展次第では、景気の先行きの悪影響を及ぼす可能性も出てきそうだ。なお、3日に発表された12月11~12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、量的緩和の副作用を懸念して、当初の想定よりも早めに緩和策を打ち切るとの観測も台頭しており、今後、折に触れて蒸し返されてドル買いにつながる可能性もある。
  
 米国はユーロ圏に比べると景気の見通しは明るく、経済指標もまずまず良好なことから、ドルの方がユーロに比べて、やや強く推移しそうだ。もっとも、米国では財政再建策や債務上限の引き上げなどの問題を決着させる必要があるため、ドルが一方的に買われるようなことはないだろう。このため、ユーロ・ドルは今後の米国の企業決算やユーロ圏・米国の経済指標に左右されつつ、1ユーロ=1.28~1.33ドル台でのレンジ相場が続くとみられる。
                     (オーバルネクスト 東京/佐藤昌彦)





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