格差などの問題に左右される貿易 | 上海で頑張ってる人を応援する!

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大変な金融危機が発生したにもかかわらず、世界経済が統合に向かうトレンドはそのまま続いています。なぜこうなったのでしょうか?


(1)世界金融危機でも続いたグローバル化


外国直接投資(FDI)と貿易は1990年以降、世界経済全体の成長率をはるかに上回るペースで拡大しており、FDIの伸び率は貿易のそれをも上回っています。
国内総生産(GDP)の世界合計に対する財・サービスの輸出の比率は1990年の20%から2012年の31%に上昇しました。
同じくGDPの世界合 計に対するFDI残高の比率は、同じ時期に9%から33%へと急拡大しました。そしてどちらの比率も、2012年には金融危機前の水準を上回っていました。

「超グローバル化」は、いわゆる「グレートコンバージェンス(大いなる収斂)」の過程で新興国が高所得国の生活水準に追いつくのに大きく貢献しました。

そのため、サブラマニアン氏とケスラー氏によれば、「1990年代後半までは、経済の最先端(米国)に後れを取らずに成長している発展途上国は30%ほどしかなく(72カ国中21カ国)、米国を追い上げるペースも1人当たり年1.5%程度にとどまっていた」。

1960~2000 年における米国の1人当たりGDP成長率は年率2.47%でしたが、これを上回る成長を遂げていた途上国は、サンプルとした72カ国のうち21カ国にとどまっていました。
また、同じ期間におけるこの21カ国の成長率と米国の成長率の差は、単純平均で1.53%でした。

ところが、「1990年代後半以降は発展途上国の4分の3近く(103カ国中75カ国)が後れを取らなくなり始め、追い上げのペースも1人当たり 年3.3%程度に加速していました。
世界金融危機(2008~2012年)の間は発展途上国の経済成長も鈍化したが、追い上げのペースは・・・3%に近い水準を保った」といいます。


(2)保護貿易主義が限定的だった理由

危機の時代には保護貿易主義の台頭が避けられませんでした。
しかし、驚くべきことに、今回はこれが非常に限られたものになっており、2010年には世界の貿易が目覚ましい回復を遂げていました。
なぜ保護貿易主義に抗うことができたのか?これには5つの説明が考えられよう。

(A)今日では世界貿易機関(WTO)や多くの貿易協定――特に欧州連合(EU)の協定――において自由貿易が制度化されています。
(B)ユーロ圏を中心に失敗もあったが、金融・財政政策は1930年代とは比べものにならないほど良くなっています。
(C)国単位の資本主義がグローバルな資本主義にますます置き換えられています。
企業と従業員はもう同じ船に乗る仲間ではないのです。
(D)市場とグローバル化のイデオロギーが支配的になっています。
(E)社会的セーフティーネット(安全網)が失業がもたらす最悪の結果から人々を守っています。


(3)今後のグローバル化進展を脅かす要素

では、グローバル化はもう後戻りしないと考えてしまってよいのだろうか?
答えはノー。

確かに、思想や利益、技術を原動力に進められてきたグローバル化は今後も進んでいくように見えます。しかし、その行く手を脅かすものがないわけではありません。

外部の脅威の1つに、世界経済の不均衡が挙げられます。

ある国が輸出主導の経済成長を目指した政策を取れば、輸出先の貿易相手国には経済を縮小する圧力が加わります。総需要が不足している超低金利の時代では特にそうです。
過去10年間に見られた外国為替市場への介入は、かつてないほど大規模で執拗なものでした。

地球環境の外部性も脅威をもたらすかもしません。
例えば、地球規模の問題の緩和を目指して二酸化炭素の排出に課税する国があったとしましょう。工場がこの国からほかの国に移ってしまったら、この目的は達成されなくなります。
すると、その影響を打ち消す相殺関税を輸入品にかけよという議論が強まるでしょう。
そうなれば、相手の国も関税をかけてくるという報復の連鎖が生じてしまうかもしれません。

もっと大きな脅威をもたらすのは高失業、低成長、そして格差の拡大です。

グローバル化は格差拡大の一因ではあるが、決して唯一の要因ではありません。
技術の進歩、金融の自由化、そして勝者総取り方式の市場も重要な要因です。しかし、格差の拡大が開かれた貿易に脅威をもたらすことは明らかです。

世界経済の不均衡には、今よりも効果的な国際通貨体制により対処すべきです。
グローバルな環境問題には、グローバルな合意で対処すべきです。また、低成長と格差の問題には、今よりも優れたマクロ経済政策と勝者から敗者への所得再分配で対処すべきです。

しかし、そうした対処は恐らくなされないでしょう。従って、そのしわ寄せは貿易に及ぶ恐れがあります。いずれにしても、すぐに妥結するとは考えにくい。
そのため、当然ではあるがWTOに対する信頼感は損なわれてしまっています。

紛争解決の機能は引き続き効果的に果たされているものの、これ以上の自由化を成し遂げられない組織が必要不可欠だと言えるかどうかは微妙です。
また、モノの貿易についてはさらなる自由化の余地は限られていますが、サービスの貿易を自由化する機会はまだたくさん残っています。

「JBPRESS」 より抜粋)


技術の進歩、金融の自由化、そして勝者総取り方式の市場により、世界経済の不均衡、高失業、低成長、格差の拡大と、世界や国を取り巻くリスクは多くあります。

しかし、今後の世界の発展は自由貿易や自由な投資は、他の国と他の様々な出来事と無関係に達成できないため、TPPのように米国が環太平洋と環大西洋という「巨大地域」での貿易協定を提案しています。

日本もTPPに乗った方が良いのか、乗らない方が良いのか、これはやってみないと分からないものがあります。
日本は世界で今後どのような立場でどんな国になっていきたいのでしょうか。
政治家の舵取りがいっそう重要になっていきます。


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