daikiのブログ

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 ピピピッ―。
「ん?・・・何か鳴ってるな。ま、いいか。」
 午前五時の出来事であった。

 五時間後。午前十時のことである。
「お、これは夢かな。」
ほっぺたをつねってみる。
「痛い。」
どうやら夢ではないらしい。ああ。またやってしまった。これで午前中のスケジュールはパーである。時計を見ると10時を余裕を持って超えている。レッスンは3時から。1時に家を出ればいいのだから、それにはまだ余裕がありそうだ。

 朝食を食べに居間に降りた僕は、触れてはいけない物を見つけた。そう、リモコンである。ここからは記述するのに大変容易だ。ドラマを2本見ました。はい、終了。
 なんだか、今日はもうグダグダだ。これでまともにレッスンを受けられるのだろうか。とにかく頭の気圧が低い。夜のバイトへの憂鬱さも手伝って、モチベーションは最悪だ。妹はめまいがすると、学校を休んでいた。

 バイトの準備をして、レッスンに向かった。途中、ネクタイを忘れたり、駐輪場が空いていなかったり、電車が止まったりはしたが、どうにか無事に新所沢についた。
 いつも通り発声をしてみるが、頭の気圧が上がらない。どうしても、どうもがいてもそれは徒労にすぎなかった。
「今日は駄目だ。無理だ。できない。」
 負の感情が僕を襲う。悔しかった。悔しくて泣きそうだった。そもそもスタートがまずすぎた。鬱のが群れを成して僕を容赦なく飲み込む。とても立ち直れそうになかった。
 群れを追い払うために僕はトイレに向かった。しかし、そんなことで僕を逃がしてくれるほどやさしい奴らではなかった。また、鬱にもまれながら教室に戻ろうとしたその時だった。
「鈴木。」
「へ?」
「またうまくなってるな。」
 たまに言ってくれる言葉だった。いつもは、ちょっとうれしい。けれども、この時は返事ができなかった。とてもうれしかった。苦しいときに優しい言葉をかけてくれる人がいる。僕はそんな幸せな環境に身を置くことができている。

 その夜、僕はいつもより一層気合を入れて授業に臨むことができていた。
「さぁ、今日は相似だね。」
「なんか元気ですね。いいことでもあったんですか?」
「はは、じゃあまずこの三角の相似条件は?・・・あ、そうそう、負と正もやっぱりペアになってるんだよね。」


なんつって・・・。