先日、東京学芸大学蹴球部の瀧井敏郎部長がご退官されるということで開かれた記念パーティーに出席しました。

プロサッカー選手など、学芸大に入るまで全く頭に描いたことがなかった私を、大学選抜に抜擢していただき、4年間ことあるごとに声をかけていただいて、温かく見守ってくださった恩師です。

学芸大はOBがなかなか集まる機会がないのですが、今回は世代を超えて、たくさんの顔、顔が集まりました。

今年は年始から大学サッカー関連でバタバタとしましたし、この一連の私の人生の流れは、何かの意味があるように感じています。

そこで今日は少し大学サッカーについてお話したいと思います。あまりにも皆さんが知らないことが多いような気がしましたので、簡単にご紹介しますね。

大学サッカーは高校までの”サッカー”とはまるで違います。

プレーするのは同じ“サッカー”なのですが、部活動を通したサッカーとの関わりがまるで変わってきます。

というのも、大学のサッカー部は学生たちが自主運営しています。(大学によって差異はもちろんありますが)例えば私がいた学芸大蹴球部は、予算の策定から監督の選任、部内の規律の徹底まで、ありとあらゆることを全て四年生が行なっていました。

つまり、少し語弊があるかもしれませんが、色々なものが与えられていた高校までと違い、大学では自分たちで動いていくことになります。

私はこれこそが大学サッカーの価値であると思っていました。高校からプロに行けなかった選手たちのラストチャンスという意味合いも確かにありますが、それ以上に、サッカーを「プレーする」だけでなく、広くサッカーと向き合い、捉え直す中で、「社会の中のサッカー」という視点も養うことになります。

「チームのために」、「サッカーを文化に」。そんな言葉はどこでも聞かれますが、それを実際に体験や出会いの中で考えるようになるのです。

だから、私は大学サッカーからプロに行こうとする選手たちにも常々、大学サッカーの経験を大事にすべきだと伝えてきました。特に、四年生の一年間は様々な学びを得られるだろう、と。プロに入れば、22歳で組織を動かす経験などできないわけですから。

私が大学生だったのはもう15年も前になりました。今の大学生はすごいです。当時の私たちが考えもしなかったことを考えています。

大学スポーツの在り方も変革の時を迎えています。ビジネスとの関わりも増えていく一方でしょう。

学生たちも色々な仮説のもとに「やってみる」を行なっています。どんな「やってみる」も新しいことには失敗もつきもの。何かを間違えることもあると思いますが、私は積極的なチャレンジを応援したいと思っています。

ミスは取り返せばいい。ボールを奪い返せばいい。また次に活かせばいい。それがサッカーですからね。

私は関わっていませんが、スカパー!にて「レゾンデートル」という大学サッカーを扱う番組もあります。ご興味がありましたら、ぜひそちらも観てみてください。

大学生が何かをつき動かそうとする姿はとても清々しいです。

そして、若い頃を思い出させてくれます。