小笠原満男。

「鹿島のレジェンド」というより、「ミスターアントラーズ」。いつまでも語り継がれていく、鹿島の歴史そのもの。偉大な男がスパイクを脱ぎました。

最初にプレーした時の衝撃は忘れられません。華麗さを感じさせないのに、難なく正確なパスや多彩なシュートを繰り出してみせるプレーに、これがトップクラスなのだと感じました。
 
不屈の精神力は私がこれまで出会った誰も持ち合わせていないものでした。2008年に膝の大怪我をして、その前と後では明らかにプレーが変わりました。キックのキレも以前よりは落ちたように感じました。

しかし、そこから彼は這い上がり、這いつくばって、10年を日本のトップクラブで過ごしました。「這いつくばって」はもしかしたら適切な言葉ではないかもしれません。でも、正直に言って、あの足でここまでミツオさんがやってこられるとは私は思わなかったのです。

今だから言えますが、2013年をもって鹿島を退団することに決めた理由の一つが、ミツオさんの健在ぶりでした。変わりゆく鹿島の中で、ベテランが多すぎると感じていた私は、ミツオさんとの勝負だと勝手に決めていました。

ピッチ上で若い選手をまとめる役は一人で充分。ミツオさんか僕か。私は昌子や山村に負けたという感覚より、ミツオさんに負けたと思ったのです。

鹿島を出てからは外から鹿島を見てきました。「いつまでミツオさんに頼ってる」。そう思う時は少なくありませんでした。それは、他の選手が不甲斐なかったのではなく、ミツオさんが偉大すぎたのだと思います。

アジア制覇が置き土産となりました。引き際などを考える人には思えないので、アジア制覇と引退が重なったのは、きっと運命みたいなもので決められたのでしょう。

ミツオさんぽくない、美しすぎる引退劇は、彼の功績に相応しいものだと思います。

自ら考え、行動されていく方です。今後も活躍されるでしょう。その活躍の場をどう広げていかれるのか。

今後も僕の刺激となる存在であり続けるでしょう。

お疲れ様でした、で正しいのかな?

お疲れ様でした。