お酒を飲んでいます。

今はJリーガーではないので、そんなことを言っても大丈夫でしょう。僕はシーズン中お酒をあまり飲まないのですが、試合の後に1杯か2杯だけ、たまに飲むことがあります。

今日、関東リーグの第10節が行われました。関東一部リーグは全18節で、今日から後半戦、2巡目の戦いがスタートしました。

僕たち東京ユナイテッドは、前半戦を2位で折り返しました。首位とは勝ち点6差で今日はその首位のVONDS市原との試合でした。

結果は0-0。首位を追いかけるチームとしては惜しい試合となりましたが、僕は今、お酒を美味しいと感じています。

鹿島や岡山での僕を知っている方には考えられないかもしれませんが、今年、僕は選手たちに「勝つこと」を求めたことがありません。

僕が求めているのは「サッカーをうまくなろうと考えること」。それを噛み砕いて伝えています。

今日の試合。半年前、開幕戦のVONDS戦で顔を出していた「プレーする」ことへの怖れを、彼らはもう振りほどいていました。チャレンジし、責任から逃げず、自分の判断で「プレー」していました。

僕がなって欲しかった彼らになっていて、僕はちょっと嬉しかったのです。

まだ足りないものも当然あります。勝てなかった理由も自分たちにあります。結果は今の自分たちの力でしょう。

ただサッカーにおいてはその前段階があり、それが自分の判断と向き合うこと、言い換えると、チャレンジをすることで、その先にある課題はその次の段階のものだと思います。

今日の試合で、そこにやっと辿り着いたなと実感することができました。選手としての美味い酒は何度か飲んだことがありますが、指導者としての美味い酒はこれが初めてかもしれません。

今年指導者として、大学生、社会人と2つのカテゴリ、それも全く種類の違う2つのチームを同時に頭の中で回しています。半年が過ぎ、本人たちは気づいているか分かりませんが、やっとここにきて半年前とは確実に変わってきたものを感じています。

そこに指導者としての楽しさを感じるとともに責任を感じています。

サッカーの未来を創るのは指導者です。どんな指導をすれば、日本人らしく「プレー」できる選手が育つのか。

この半年間、実際に指導したり、色々な方とお話しさせていただいたりする中で最も思考を巡らせていることです。

この思考の旅はいつかどこかにたどり着くのでしょうか。

さて、明後日は鈴木啓太さんの引退試合に出場します。

この歳で中1日の試合を体験するとは。これも新たな挑戦として楽しみにしています。

そして、埼玉スタジアムのあの空気を吸うことができることを、この上なく楽しみにしています。