たくさんのメッセージありがとうございました。ちょっとネガティブ過ぎましたか。負けたときは私、いつもこんな感じになってしまいます。大事なことはやはり、「未来」と「自分」をどうするかだと思います。その中で、「タイで得たものはありますか?」という質問をいただきました。まだ、シーズンは終わっていませんので、答えづらいところもありますが、今考えることを書いてみましょう。

まず海外でサッカーをするということ、あるいは生活をするということは日本とは全く違うものです。「百聞は一見に如かず」とはよく言ったもので、私もいろんなことを想像しては分かった気になっていますが、そこに行ってみなければ分からないことばかりだと思います。

例えば、私が知り合いとこちらのサッカーについて話をする機会があっても、日本にいらっしゃる方の反応とタイでのプレー経験や生活の経験のある方の反応は結構違います。関わる人が全て日本人ではないということでどれほどの違いが生まれるのか、私もこちらに来るまでは想像できていませんでした。

日本では違う場所で全く接点を持たずに生きてきた人とも、大体同じイメージの中で理解ができます。しかし、日本の価値観は日本の当たり前であって、他の国では当たり前ではなく、他の国は違う当たり前で成り立っています。

これは私がこれまで全く経験してこなかった経験です。日本は世界の中の1つでしかなく、その「世界にたくさんある国の中の1つ」という感覚は、私は日本にいるときは持てているようで、全く持てていなかったように思います。

また、サッカーの側面からいくと、タイは1年中暑いので、筋肉系の怪我のリスクが低いという利点があります。ここ数年、というか特に昨年は、試合に出られなかったこともありましたが、それ以上にちょっとした筋肉系の怪我をよくしていました。今年、暑いところで試合に出続けられていることで、もう1度自分の体に自信を持つことができています。そしてここ数年低迷していたチームで、ここまである程度の結果を出せていることで、まだ自分はやれるんだと思うことができました。

あとはやはり、まだまだサッカー後進国というところでサッカーをしてみて、日本との大きな差を感じながら、いろんなことを違う側面から捉えられていることでしょうか。

例えば、私はジーコやドゥンガといったスーパースターが日本のサッカーを変えたと思っていましたが、きっと彼らは指針を示しただけで、本当の意味で変えてきたのは日本の人たちなのだということ。そして、育成が果たす役割の重要性やサッカーに国民性が色濃く反映されること、外国人選手としてプレーすることの難しさやもどかしさも感じることができました。

他にも挙げればキリがありません。鹿島にいたときよりお金を使わなくなったし、本をたくさん読めているし、家族の大切さを再確認したし、ブログを書けてるし、凝り固まった価値観も少しは幅が広がったと思います。私はここに来るにあたってしたかった、夢の世界からのリセットをできていると思います。

私は今年ほどサッカーだけに生きている年はなかったかもしれません。息抜きをする時間もほとんど作っていません。わざわざここに来た意味を自分で大きくしたいと思っているからです。私は毎日息苦しさに耐えながらpainを溜め込んで、シーズンの最後に何か大きなものを得たい(gain)と思っています。