私の鹿島での最後の試合は、昨年の第33節のセレッソ戦でした。スタメンを外れてから初めての先発出場、実に約5ヶ月ぶりでした。

最後の試合になることは分かっていました。しかし、昨年のセレッソはJリーグの中でもかなりタフな相手でした。私は感傷に浸る前に、やるべきことをやらなければ、と思っていました。

整列をして写真撮影をして、ピッチに駆け出した瞬間でした。太ももの後ろを軽く痛めてしまいました。ビックリしました。まさか試合が始まる前に。交代を申し出ようかと思いましたが、鹿島最後の試合でそんなかっこ悪いことはできません(笑)。私は「こんな終わり方があるわけない。」と自分に言い聞かせました。

とりあえずチームのためにも前半は乗り切ろうと考えていました。怪我した足をできるだけ使わないように走りました。あまり走らなくていいように、一歩でも二歩でもいいポジショニングをして先回りすることを考えていました。

試合をしながら、「痛みがあっても試合に出ること」そして、「いいポジションを取ること」は、私が今まで10年間最も意識してやってきたことだったなと思い出しました。後半の途中からは痛めた足ではない方がかばった影響でつり始め、最終的には両足の全てがつりました。私は、だんだんその状況に、自分らしい終わり方だと感じていました。

試合は後半、セレッソに何度もチャンスを与えてしまい、ピンチの連続でした。そのシュートが外れるたびに、私は勝てるような気がしていました。10年間でこれまで何度もあった一つの勝ちパターンでした。その予感通り(私の予感は普段ほとんど当たりません。笑)、アツ(中村充孝)のゴールで勝つことができました。

勝ち越し点を決めたとき、私は初めてチームメイトに足を痛めていることを打ち明けました。チームのみんなに迷惑をかけ、最後は立っているのがやっとでしたが、最後のピッチに立ち続けられて本当に良かったと思いました。普通に戦うピッチでは味わえない充実感、自分のやってきた仕事をそこで完遂した充実感がありました。

試合後のその充実感に気持ちが変わらないことを確認した私は、週明けに退団を発表し、海外への道を模索する決意を固めました。




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≪岩政大樹出演TV情報≫

裸のアスリートⅡ
7月20日(日) 午前09時30分~10時00分
BS-TBS系列 全国ネット
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