今回のW杯で何度か、キーパーがボールを保持しているときにボールを奪おうとしてイエローカードをもらうシーンがありました。私も懐かしく思い出したプレーがありましたので、その話をしてみたいと思います。

あれは2008年のゼロックススーパーカップでした。セットプレーで攻め上がっていた私は、対戦相手のサンフレッチェ広島のキーパーがキャッチしたので、自分のポジションに戻ろうとしていました。すると、目の前でそのキーパーが手の平にボールをのせるようにして保持していました。

私はチャンスだと思い、そのボールをつつきました。しかし、当然ファウルを取られ、イエローカードを提示されただけでなく、2枚目のイエローカードで退場となりました。

少し言い訳をしたいと思います(笑)。私はこのとき、本気でファウルではないと思っていました。イエローカードを1枚もらっている状況でわざわざファウルとわかっているプレーをするほどバカではありません。

私はルール変更を把握していなかったのです。実はこのときの数年前、「キーパーが片手で手の上にボールをのせるようにしている場合、ボールを保持していると見なされず、危険なチャージでなければファウルにならない」と1度ルールが変わったことがありました。それをシーズン前のルール講習会で審判の方に実演して説明を受けていました。その印象が強かった私は正当なプレーだと思いました。

退場してロッカールームに戻った私は、冷静になったあと、スタッフの方に頼んでルールブックを持ってきてもらいました。しかし、私が思っていたような記述はありませんでした。そこで、よくよく思い返すと、その数年前のルール講習会の半年後か1年後くらいにチームのミーティングのときにクラブのスタッフから、またそのルールが元に戻ったことを伝えられたような気がしました。

記憶力のない私が犯した大きなミスでした。ルールはちゃんと把握しておかなければいけないと反省しました。

こうしたちょっとしたルール改正は実は毎年のように行われていて、最近は攻撃側に有利になるように、オフサイドに関するルールの解釈が変わってきています。昨年、ヒサト(佐藤寿人)がそれを利用したポジショニングを工夫してやっていましたが、そうした細かい駆け引きもピッチでは行われています。

このときの退場は私にとって大きなミスであり、タイミング的にも前年の優勝をふいにしてしまうような苦しい出来事でした。しかしそれ以上に、私の思い違いで荒れた試合になり、そのときの審判の方にも大きな傷を負わせてしまいました。

それ以来、その方のことを少し気にしていましたが、数年後の奇しくも広島戦の後に駐車場で偶然お会いし、そのときのプレーにはお互い触れずに何気ないお話をさせていただきました。そのときやっと、私の中でその試合のことが終わったように感じました。



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≪岩政大樹出演TV情報≫

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7月12日(土) 深夜27時33分~28時03分
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裸のアスリートⅡ
7月20日(日) 午前09時30分~10時00分
BS-TBS系列 全国ネット
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