W杯は決勝トーナメントが始まりました。四年に一度の大会で世界一の栄冠に輝くのはどこの国でしょうか。日本は残念ながら敗退してしまいましたが、世界中のサッカーチームが一堂に会して本気のサッカーをするのはW杯だけです。まだまだ楽しみは続きます。

この10年くらいでしょうか。日本では、盛んに日本人らしいサッカーを追求しよう、他の国の真似をするのではなくオリジナルのサッカーを作ろうと盛んに叫ばれるようになりました。

その歩みは少しずつ進んでいると思います。客観的に見て、日本代表の色はおぼろげながら世界の中で見えてきているように思います。

今大会で私が日本の戦いと重ねて興味深く見ているのは、強豪国と言われてきた国のスタイルに、私のイメージとは違うサッカーへの変化が見られることです。

華麗なサッカーのイメージがあるブラジルは、どちらかというと効率的なサッカーをしているように見えます。堅守とフィジカルを生かしたサッカーをしていたドイツはここ数年の継続の中でどんどんテクニカルなサッカーにシフトしてきています。イタリアにはカテナチオのイメージは完全になくなり、ワイドなポゼッションサッカーをしてきたオランダは今大会ではアグレッシブな守備からのカウンターで世界を驚かせています。

その中には今大会で結果が出ている国とそうでない国がありますが、日本だけでなくどの国も結局、時代の流れの中で試行錯誤しているということです。思い出してみるとここ数年のサッカー界をリードしてきたスペイン代表も、あそこまでポゼッションに偏向したのはここ最近のような気がします。

そのように見ていくと今大会でどのようなチーム作りをしたチームが勝ち上がっていくのかとても興味が湧きます。そしてもちろん結果だけでなく、それぞれのプロセスにも注目してみたいと思います。

日本人らしいサッカーを考える上でも、ここからのW杯の激戦はまだまだ見るべきところが多い気がします。結局「自分」という存在は他人との関わりの中で自分らしさを認識していると思います。人と違うから個性になります。日本が世界の中でより存在感を示すためには世界をもっと知ることも大切なんだと思います。