日本代表、残念でした。僕も試合後の疲れた体を叩き起こして観戦しました。選手は選手に分かったように分析されるのは何より腹立つと思いますので、コメントはしません。そこで、今日は試合に負けた後の僕の心境について話してみたいと思います。

たくさんのタイトルの影には、当然たくさんの敗北がありました。負けた後はサポーターの皆さんと同じ気持ちで、落胆します。ロッカールームでは当分動きたくなくなって呆然としています。もっとできたことがあったんじゃないか、と試合中のいろんな場面を思い出しては悔やんでしまいます。

若い頃、そういう時に剛さん(大岩剛)が、「おれはこれまで何回これを味わったと思ってるんだ。次だ、次。」とよく声をかけてくださり、何度も救われました。

センターバックは勝ったときには目立たず、負けたときにその近くにいるポジションです。割に合わないと思ったこともありましたが、僕はなんとかここまでやってこれました。

負けた後には選手は必ず「切り替えたい。」という言葉を発します。これは、負けたあとはなかなか切り替えられない、という裏返しの言葉です。それはそうです。負けて切り替える必要がないなら、選手を辞めるしかありません。

僕が切り替えのときに意識するのが「今、反省点や課題をどこまで考えるべきか。」ということです。僕は元々、ビデオを見て分析したり、そこにある原因を考えることが好きでした。しかし、サッカーはメンタルなスポーツです。反省点を探すことがチームの士気を乱すことにつながることがあります。

皆さんも「気をつけよう。」と思えば思うほど、そっちに流れて同じことを繰り返してしまうことはないでしょうか。サッカーも例えば、「立ち上がりに気をつけなきゃ。」と思っているときに限って、立ち上がりに相手の一本のスーパーシュートが入ることがあります。

僕は、反省点を挙げてそこに注意を払いながら消極的になるなら、一度開き直って課題に一旦フタをしてしまうことも時には大事だということを鹿島での経験の中で学びました。特に連戦の時などはそうです。

とは言っても、反省しないとか忘れてしまうとかそういうことではなくて、結局はこれもバランスの話で、その自分のバランス感覚が定まっていくのも、経験ということなのだと思います。