前回の南アフリカW杯。僕はギリギリで23人に選ばれました。センターバックには佑二さん(中澤佑二)とトゥーリオが君臨しており、有事にもアベちゃん(阿部勇樹)やコンちゃん(今野泰幸)がいたので、試合出場の可能性が低いことは分かっていました。

W杯は、それまでの日本代表の活動と違い、準備期間が長く、大会期間を入れると2か月近くあります。その期間、試合に出る可能性の低い状況で準備をするのは簡単ではありませんでした。

可能性は低いとはいっても、0ではありません。ピッチに立ったときには最高の状態にしておかなくてはいけません。それに、W杯ともなれば、たくさんの方が試合出場を期待してくれます。少ない可能性のために最高の準備をして、やっぱり出られなくてガッカリして、の繰り返しはなかなか精神的に苦しいものでした。試合に出られない苦しさを痛感していました。

そのときの救いは、W杯が終わればすぐにJリーグがあることでした。代表の期間はいずれ終わることで、期間限定です。しかし、クラブで試合に出られない状況はいつ終わるか分からないので、乗り越えるのはより苦しいものです。

だから、僕はいつも鹿島で久々に出場する選手がいるときは、試合前から楽しみにしていました。ある程度、固定されたメンバーでプレーするのは安定はしますが、時に爆発力に欠けます。試合に飢えた選手の活躍とそこに生まれるドラマをいつも期待していました。

ここでも僕は、想像力を大事にしていました。ただ「好きにやれ!」と言ってもうまくいきません。新たな選手が入ることで起こるマイナス部分をいつも試合に出ていた僕が微調整することで、プラス部分を思い切り出させてあげられるように、いろんなシチュエーションを具体的に考えていました。

僕の感覚ですが、日本代表はそうではありませんでした。レベルの高い選手たちが集まり、そこに適応できなければふるい落とされるだけの厳しい世界でした。それを乗り越える自信も時間も作り出せなかった僕は、1度も代表で100%の力を発揮できませんでした。悔いがないと言えば嘘になりますが、それも僕らしいと思っています。


今日は、リーグ第14節。ここから怒涛の10連戦。僕らしく、頑張ります。