愚者の翼 ― イカロスウィング/ダイダロスウィング | 無人のモグハウスで発見された手記

愚者の翼 ― イカロスウィング/ダイダロスウィング

今回は名工親子、ダイダロスとイカロスのお話。


ダイダロスは、かのミノタウロス(FFXIにおいても、フォミュナ水道のTaurus族Minotaurとして登場)が幽閉されていたクレタ島のラビリントスを設計した事でも知られる、高名な建築家にして発明家。イカロスはその息子です。


もともとダイダロスは、アテネの生まれで、そこで暮らしていたのですが、才能の点で上回る実の甥を、名声を脅かされる事を恐れ殺害してしまい、その罪によって故郷を追われます。

そして親子が辿り着いたのがクレタ島。ダイダロスは、クレタのミノス王に登用され、異形の息子であるミノタウロスを隠匿するための迷宮を設計することになります(ついでに付け加えると、彼は結果として半人半牛のミノタウロスが誕生する原因の一つも作っています)。


後にミノタウロスは、英雄テセウスと、ミノス王の娘であるアリアドネによって討伐されることになるのですが、その際アリアドネに、迷宮から脱出する策として麻の糸玉を渡したのも、誰であろう迷宮の設計者ダイダロスでした。


しかし、これがミノス王の耳に入ります。鬼子とは言え息子の殺害と、娘を異国の王子に娶らせる事の手助けをしたダイダロスに王は激怒し、ダイダロスとイカロスをミノス島の古城の塔に幽閉します。
見張りは厳重で、とてもではないが逃げ出す事はできそうにない。その状況下でダイダロスが脱出の秘策として考え出したのが、鳥の羽根を蝋で固めて作り出した翼での、空からの離脱でした。


自身の分と息子の分、二つの人工翼を完成させたダイダロスは、息子に忠告します。
決して低く飛んではいけない、海の波飛沫で翼が重くなるから。決して高く飛んではいけない、太陽の熱で蝋が溶けてしまうから、と。


そうして言い置いて、二人は次々に空へと舞い、見事クレタからの脱出に成功します。

しかし、空を飛ぶ事のあまりの爽快さに有頂天になったイカロスは、父の忠告を忘れ、ついつい天高く舞い上がってしまいます。
案の定ダイダロスの言葉通りに蝋は溶け出し翼はバラバラに分解。愚かなイカロスは吸い込まれるように海に消え、その命を散らしたのです(この個所は、単に当然の結果として翼が溶けたケースの他に、神を畏れぬ行為と太陽神ヘリオスが怒り太陽熱を上げて溶かしたとする展開もあります)。


この時イカロスが散った海は、後に彼の名にちなんでイーカリア海と名付けられました。



イカロスウィング/TPを瞬時に上昇する人工翼。肩の筋肉を酷使するため、連続使用できない
ダイダロスウィング/TPを瞬時に上昇する人工翼。



FFXIにおけるイカロスウィングは錬金術合成品です。
原典に忠実に、大鳥の羽根蜜蝋で固めて作成します。
妙薬扱いのアイテムであり、一度使用すると一定時間の間は妙薬類が使用できない状態になります。
ここ一番の戦闘ではそれなりに有益なアイテムであり、Ver.up直後などに値段が跳ね上がるアイテムの一つです。


ダイダロスウィングはバリスタ専用アイテムで、バリスタ中に掘り出せるアイテムの一つです。
上記の説明文を見ても解かる通り、使用に制限はありませんが、バリスタ以外の通常フィールドへの持ち出しは出来ません。


しかし……、「肩の筋肉を酷使する」とは一体……?
この翼、どうやって使う代物なのでしょうか。