モリとセロリ炒め、 ライス、スープ
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お婆ちゃんは僕に優しくこう言った。
「夜中にトイレに行きたくなったらいつでも起こしなさいよ」と、
孫を思う無償の気持ちで言っているのに私は、
「うん!わかったありがとう」と、言っておきながらも内心は、
真夜中にお婆ちゃん起こしたら可哀想だとか、
何だかそんな事で起こすのがカッコ悪いみたいな気持ちがあった。
でもまぁこんな時は、
宴会でジュースをこれ見よがしにガバガバと飲む訳だから当然、
真夜中に必ずっていいほど尿意を催すのが、自然の流れだった。

大体、深夜2時ぐらい。
トイレに行きたい。

でもそのトイレに行くには、ご先祖様の遺影の写真が飾られた部屋を通過をし尚且つ、あの鏡の前を通らなければならなかった。

怖くて怖くてたまらない。
真夜中の時間は刻々と深刻さを増していった。

あと少しで、あの古時計の鐘が、ボ~ンボ~ンボ~ンと鳴る時間。

尿意を催している事をさりげなく気づいてもらおうと、
激しく寝返りをうってみたり、大きく咳き込んでみるも、
隣で寝ているお婆ちゃんは天国に近い夢の中。

子供心に、ひとりぼっちで、こんな真夜中に起きていることと、
何か得体の知れないモノに見られてる気がしてとても怖かった。

あと数分もすれば、哀しげな古時計の鐘の音が静かに鳴り響く。

私は意を決する思いで、汗ばんだ布団から抜け出し、
トイレへまでの道のりを、何故か足音を立てずに小走りで向かった。
日中とはちがって、仄暗い廊下を通り、何処からか寄贈された鏡にも目もくれず、
上から覗き込まれてる様な、ご先祖様の遺影の圧力を感じつつ、
やっとの思いでトイレにつくと、そこは静寂に包まれていて、
いつもは聞こえない蛍光灯からでる低周波の音が占拠していた。

もしも、あの目の前にあるトイレの小窓から、ニュッと幽霊が出てきたらと思うと顔も上げれなかった。
ただ一つ救いだったのが、自分から出る小便の音が唯一の存在だった。

行きも怖ければ帰りも怖いわけで帰り道は、
廊下の突き当たりにある鏡を正面から見なくてはならなかった。
もしかして、その鏡を見た時に、自分の姿が映ってなかったらと思うと、
もう怖くて怖くて仕方がないし、
縮みこまったチンコはさらに防御しようと萎縮していた。

しかし長居は禁物、くる、きっと来る、血まみれの幽霊がソコから覗いている。

便器から勢い良く流れる水を皮切りに、私もトイレから飛び出した。
あらゆる神経と言う神経が過敏に反応する。
蚊取り線香の匂いや、何十年も重宝しているヌカ床の発酵臭が、
いつもよりも数段に嗅ぎ分けられる事が出来た。
板貼り廊下のミシッ ミシッと言う音が凄く怖い。。。
暗がりの、遺影の、写真の目が、ギョロっとこっちを見ている。

そして最大級におぞましい大きな鏡は、その鏡がそこにある限り、
そこを永遠に映し出している。

うしろの正面だあれ?

みたいな、自身が鏡によって映し出されてるのに、
何かその無音の鏡の世界にいる自分がとても怖かった。

やっとの思いで寝室に着くと、お婆ちゃんが起きていた。
多分に私がトイレに行った時に板貼りの廊下のミシッミシッって音に気がついて、
お婆ちゃんは私の帰りを待っていてくれたのだった。
お婆ちゃんは「トイレに行きたかかったら起こしてくれたらいいのに~」と小さな声で私に行った。
私は「うん、全然大丈夫だよ」と、嘘八百も甚だしい強がりを見せた。
布団に入り、お婆ちゃんに「ゆっくりおやすみね~」と、頭を撫でながら言われ
私は内心ホッとし、天井を見上げると、あの怒った様な目の形をしていた木目が消えていた。

ボ~ンボ~ンボ~ンと3時になった合図を出す古時計も、
今の私となっては眠りを誘う子守唄の様だった。


つづく けど
しばらく続かない