よーやく 帰ったのは 5時半だった


帰るなり 

どーしたんか…  その顔!


出てますよね


この 果てしない戦いに破れた私の 素の顔です。


自閉症スペクトラム障害の孫ガックン


支部に着くなり

全身でわめく


来たくなかった

こんなとこ嫌じゃー

みんな おかしい みんな狂っちょる!


奥の部屋で娘が話を聞いていたが 司会進行があるので

私がバトンタッチ


まず 鬼のような心が止まらない


誰とやり合ってるのか わかってるつもりなのに 目の前の十歳の孫の悪態に いや 罵詈雑言に 頭に血が上る


ふっと気がついてからは とにかく 黙ろう

この子が何を言ってるのか 全部 聞けるまで 沈黙と仏性を信じることに集中しよう


泣きながら訴えている


みんな オレに悪魔とか 悪霊とか 地獄に行くとか 言っちょる  思っちょる と


ああ

本当に それは 辛かったろうな


この子は誰よりも敏感に 人の気持ちが読み取れるんだな

心は静まってきた


わかったよ ガックン

嫌な思い してたんだね

ごめんね


本棚を猛烈な音を立てて 殴り続け これ以上出ないくらいの高い声で


お前なんか 出ていけー

こんなとこには二度とこん

みんな 頭が狂っとる

悪魔も天使もおらんしー


わぁー

わぁー

と 泣き叫んでいたのが やっと止まった


ジャンケンでおばあちゃん勝ったら そこから出てきてね に 少し笑ってジャンケンもしてくれるまでになった

事もあろうに 何回やっても 私は負け続けた


そんなとこに

中1の男の子がやって来てくれた


複雑な環境で 同じ年の友達が養子にして育てている

なので 関西校受けるも 通らないくらい この子も荒れていたが

シングルで孫を育ててる友達が この孫のために 生前永代供養を先月したのだ

その直後から この子は全くと言っていいほど 顔つきも態度も優しく 柔らかくなっていた。


どーしたん?ガックン

一緒にゲームしよう


生き返ったような顔をしたガックンに じゃー落とした本を全部直したら ゲームしていいよ

て、言ったら


僕が手伝ってやる


ああ

ああ

中1の子から ガックンは別に困った子でも特別でもなくて 僕にもこの気持ちわかるよ て伝わってくる


泣きそうになったのは 言うまでもない





それからは クリスマス会にも参加できて 問題もなく 終わり良ければ全て良しやね飛び出すハート と




ツリーのお片付けも 一人で責任持ってやり遂げてくれた。

さて 帰る準備が整ったとき
一人の小さな女の子が

あれ?今日はサクセスのお祈りしないの?


みんな その小さな女の子を すごいね〜て褒め称えてたとき

ガックンの荒ぶる心が再噴出した

支部長からそこらじゅうの人に 指差しで
わめき出したのだ
降魔型エル・カンターレ像にも

もう 二度とこんなところには来るもんか!
みんな バカじゃー
どっかへ行けー
それはそれは 悪霊が大暴れしてるにしか 見えない姿だった

娘はトイレに行こうとしてたのを 我慢して 車に連れて行った
いや、私も促した

頭の中は なんでなん なんでなん なんでなん

見送ったあと 深々とみんなに 感謝を伝える
みんなも 考えていた
けど 結局 なんにも答えなど 見つからなかった

これが 魂修行なのだと

そんな私を 大学上がりの若い職員さんが声をかけてきた

その人と話をしていたら

もしかしたら 私がどーかしてあげなくっちゃ
私が娘も孫も守らなくっちゃ  て
私がの が は 我 だと悟った
私じゃないんだ
ガックンの親は娘なのだと

娘の問題を私 解こうとしていたんだなって
それは 見てるだけで苦しいから
こっちが 泣きそうになるから

その若い職員さんは言った

私のおばあちゃんは神様みたいな存在で 何があっても笑ってくれてて なんにも言わないけど いつも側にいてくれるんです。

本当だ

ガックンには そんな優しいおばあちゃん いなかったな

目の前で みんなが不快に思う暴れ方をしたとき
それでも どーなんか わからんけど
私の心の目が そんな 優しい目になったとき ガックンも変わっているのかもしれない

手を出さない
口も出さない
という 心の修行が 目の前に来たんだと 
朝のハートのホットケーキから 思いを馳せている私でした。

も一つ
娘が今日 御本尊拝受の誓願を立てたんです。
それも あるかな…