『 石 の 花 』



前回までのお話し  「石の花 1」  「石の花 2」  「石の花 3」  「石の花 4」  「石の花 5」
「石の花 6」  「石の花 7」  「石の花 8」  「石の花 9」  「石の花 10」  「石の花 11」
「石の花 12」  「石の花 13」  「石の花 14」  「石の花 15」  「石の花 16」





 それからダニーロは、自分から進んで、

今すぐ結婚をしたいと言い出しました。

そうして結婚式の日取りが決まりました。

結婚式の準備をしていくうちに、

ダニーロは、徐々に明るさを取り戻して行きました。

そしてすでに出来上がっていた、

領主の旦那の大盃が出来上がっている事を、

管理人に報告に行きました。

それを聞いた管理人が、やって来て



『何て素晴らしい細工だ!』



と、すぐにその大盃を、都の領主の旦那の元へ、

届けようとしました。

しかしダニーロは、



『もう少しだけ、待ってください。

 少し手を加えたい所が出ましたから。』



と言いました。



 やがて秋になりました。

ちょうど9月の蛇祭りの頃、結婚式の日となりました。

誰かが、



『ほらもう直、みんなの所に蛇が集まるぞ!』



と言いました。



 その言葉を聞いたダニーロは、

これは、何かの知らせか? と受け止めたのです。

それでダニーロは、忘れかけていた、

クジャク石でできた、石の花の話しを思い出したのです。

ダニーロは、居ても立っても居られなくなり、



(独身の最後にもう一度だけ、蛇山に行ってみようか?

 あそこに行けば、何かが解るんじゃないだろうか?

 それにあの大きなクジャク石は、

 あそこに、わざわざ置いてあるみたいだった。

 それに銅山で聞いた、あの声も、

 蛇山に行けって、言っていたし・・・)



そう思いを巡らせると、蛇山へと出かけて行ったのです。



 すでに季節は冬になろうとしていました。

もう地面は凍り始め、雪も時々チラチラと舞います。

ダニーロは、あの大きなクジャク石を見つけた、

山の切り立った所に近づいて行きました。

みると、そこには大きな石を取り除いたかのような、

大きな穴が、あいていたのです。

ダニーロは、この崖から大きな石を取り除き、

山肌に、大きな穴を開けたのは、

一体誰なのか? という事は、一切、考えませんでした。



(うう、寒い。

 あの穴の中なら、冷たい風も避けられるだろうか?

 あの穴の中で、一休みして行こう。)



と思いながら、山肌に開いた大きな穴の中に入って行きました。



 穴の中に入り、ふと見上げると、

一方の壁の傍に、腰掛のような形をした、

灰色の石があるのに気がつきました。

ダニーロは、その石に腰かけ、

じっと地面を見つめました。

どうにも年寄りの親方が話して聞かせてくれた、

石の花」の事が気になり、頭から離れないのです。



(ああ、ひと目で良いから石の花が見てみたいものだ。)



 こう思うと、周囲が突然、夏になったのか?

と思う程、突然、温かになって来たのです。

ダニーロが頭をあげてみると、

目の前の岩壁の所に、銅山の女王様が座っていたのです。

女王様は、美しい上に、

クジャク石でできた、不思議なドレスを着ていたので、

ダニーロは、その女性が直ぐに女王様だと理解できたのです。

それでもダニーロは、



(これは、もしかしたら、僕だけがそう思っているだけで、

 本当は、誰も居ないのかもしれないなぁ)



と考え、黙っておりました。

まるで何も見えていないかの様な素振りをしながら、

じっと、女王様が座っている石を見つめています。

一方、女王様も考え込んでしまっている様子でしたが、

やがて、



『どうなのですか、ダニーロ親方?

 あなたのチョウセンアサガオの大盃は、

 まだ出来上がりませんか?』



と切り出してきました。



『まだできないんだ。』



と、ダニーロは答えました。



~本日は、これにて~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

おしまいっ。
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