『 ヨ リ ン デ と ヨ リ ン ゲ ル 』



前回までのお話し  「ヨリンデとヨリンゲル 1」  「ヨリンデとヨリンゲル 2」




けれども老婆は、

あの娘は二度とお前に返すわけにはいかないと言って、

さっさと立ち去りました。

ヨリンゲルは大声で叫びました。

ヨリンゲルは、泣きました。

ヨリンゲルは嘆きました。

けれども、どんなことをしても、

何の役にも立ちませんでした。



『ああ、僕は一体どうなるのだ。』



 と、言いながら、ヨリンゲルはその場を立ち去ると、

ただただひたすら歩き続けた挙げ句、

知らない村へとやってきました。

その村で、ヨリンゲルは長い間、羊の番をしていました。

度々、例の城の周りをグルグルまわってみましたが、

傍へ近寄り過ぎないようにしました。

そしてある夜の事、

中心に、美しい大きな真珠の入っている

血の様に真っ赤な花を一つ見つけた夢を見ました。

更にその夢の中で、ヨリンゲルは、

その花を持って城へ行き、その花で触ったものは、

何もかも魔法が解けたのです。

ヨリンゲルは夢の最後には、その花で魔法を解き、

許嫁のヨリンデを取りかえしたのです。



 朝、目が覚めると、ヨリンゲルは、

もしかしたら、そういう花が本当にあるかも知れないと思い、

山や谷を、血眼になって探し始めました。

探し始めて9日目に、ヨリンゲルはその朝早く、

夢で見たのとそっくりな血の様に赤い花を見つけました。

真ん中には、美しい真珠ぐらいの

大きさの大きな露の玉が一つありました。

ヨリンゲルはこの花を城へ持って行きました。



 城まで百歩という所まで来ましたが、

別に動けなくなることも無く、

そのまま門まで歩いて行きました。

ヨリンゲルは嬉しくてたまりませんでした。

その花で門を触ると、門はさっと開きました。

ヨリンゲルは、中に入りました。

中庭を通っていくと、沢山の鳥の声が聞こえてきました。

その鳥たちの声が、どこから聞こえるかと、

ヨリンゲルは、耳をそばだてました。

ようやくその声を聞きつけました。

ヨリンゲルはその広間に行きました。

広間には、魔法使いの老婆がいて、

7千もの籠に入っている鳥に餌をやっていました。

老婆はヨリンゲルを見つけると、

カンカンになって怒鳴りました。

そして毒や胆汁を吐きかけました。

けれども、老婆はヨリンゲルから

2歩、離れた所までしか近寄れません。



 ヨリンゲルは、老婆などお構いなしに、

歩きまわって、鳥の入っている籠を調べました。

ところが、夜鶯は何百羽といるのです。

ヨリンゲルが途方に暮れて眺めていると、

老婆が鳥の入っている籠の一つをコッソリ取って

例の真っ赤な花でその籠をそっと触りました。

それから老婆は自分自身でも、花を触りました。

これでは老婆はもう、魔法を使う事が出来なくなりました。



 ヨリンゲルは、立ったままヨリンデを抱きしめました。

ヨリンデの美しさは、少しも変わってはいませんでした。

それからヨリンゲルは、

丘の鳥たちも、1羽残らず、

元の娘の姿に戻してやりました。

ヨリンゲルは、ヨリンデと一緒に家に帰りました。

そしていつまでもいつまでも、

一緒に仲良く暮らしましたとさ。



「ヨリンデとヨリンゲル」 おしまい。




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

おしまいっ。
ペタしてね