『 眠 り の 精 』



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『ほら、あそこに見えるのが、私の弟で、

 もう1人のオーレ・ルゲィエだよ。

 人間は、弟の事を「死神」とも言っている。

 けれど、ごらん。

 絵本だと、ガイコツばりの恐ろしい姿に

 描かれているけれども、そんな風じゃないよね。

 それどころか、銀の刺繍をした、立派な上着を着ている。

 まるで美しい軽騎兵(けいきへい)の、

 軍服のようじゃないか。

 黒いビロードのマントが、

 馬の上でヒラヒラ翻っている。

 あれあれ、見てごらん、ヤルマール。

 あんなに速く、弟が馬を走らせているよ!』



 言われてヤルマールが眺めると、

そのオーレ・ルゲィエが馬を走らせていました。

そして若い者や、年取った者を馬に乗せていました。

ある者は前に、又ある者は、後ろに乗せていました。

けれども乗る前に、オーレ・ルゲィエは

いつも、こう訊ねました。



『成績表はどんなだね?』



『良い成績です。』 と、誰もが言いました。



『宜しい、ちょっと見せたまえ。』



オーレ・ルゲィエは言いました。



 そこでみんなは、成績表を見せなければなりません。

その結果、「」と「」とを貰っていた者は、

馬の前の方に乗り、楽しいお話を聞かせてもらえます。

ところが、「」と「」だった者は、

馬の後ろに乗せられ、恐ろしい話を聞かねばならぬのです。

その人たちは、震えながら、泣いていました。

馬から飛び降りようとしても、無駄なのです。

何故って、みんなは馬に乗せられた途端、

根が生えたようになり、動けなくなってしまうのですから。



『だけど、死神って、

 とっても立派なオーレ・ルゲィエだねぇ。』



と、ヤルマールが言いました。



『僕、ちっともこわくないよ。』



『そう、怖がることなんかないね。

 いい成績表を貰えるようにさえすれば、良いのさ。』



と、オーレ・ルゲィエは言いました。



『さよう、これはためになるな!』



ひいお祖父さんの肖像画が、壁に向かって呟きました。



『やっぱり、自分の考えを言えば、

 必ず役に立つのじゃな!』



こう言って、ひいお祖父さんの肖像画は満足しました。



 これが眠りの精のオーレ・ルゲィエの

一週間のお話しです。

今夜は、オーレ・ルゲィエが、皆さんの所にやってきて、

もっと色々の話しをしに来るかもしれませんよ。



「眠りの精」おしまい。




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

おしまいっ。
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