『 眠 り の 精 』



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「金曜日」



『ちょっと信じられないことだが、

 大人の中にも、私に傍に居てもらいたい人が、

 大勢いるそうなんだよ。』



と、オーレ・ルゲィエが言いました。



『わけても、何か悪い事をした人が、

 そうらしいんだよ。

 「優しい小さなオーレ・ルゲィエさん」

 と、そいつらは私に言うんだよ。

「ああ、どうしても眠れません。

 一晩中、こうして横になっていると、

 今までやってきた悪い事が、皆思い出されてしまう。

 ちっぽけな、醜い魔物の姿になって、

 寝床の端に座り、熱湯を浴びせて来るんだよ。

 どうかオーレさん、私の近くに来て、

 そいつらを追っ払ってください。

 私が、ぐっすりと眠れるように。」

 こう言って、大きなため息をつくのさ。

 そして更にそいつらは、

「ええ、ええ、お礼はたっぷりと、

 喜んでいたしますとも。

 それじゃあ、お休みなさい、オーレさん。

 お金は窓の所においておきますよ。」

 と、言うんだよ。

 でもお金が欲しくて、そんな事をするんじゃないんだよ。』



と、オーレ・ルゲィエは言いました。

するとヤルマールはオーレ・ルゲィエに尋ねました。



『ねえ、今夜はどんな事をするの?』



『そうだな。

 どうだい、今夜ももう一度、結婚式へ行くかい?

 昨日のとは、もちろん違う所へだよ。

 お前のお姉さんは、ヘルマンと云う名の

 男みたいな顔の人形を持っているだろう?

 あれがね、ベルタという人形と、

 結婚することになっているんだよ。

 それに今日は、この人形の誕生日だし、

 だから贈物が、きっと沢山くるだろうよ。』



『うん、その人形なら僕も知っているよ。

 人形たちにね、新しい洋服を買ってもらいたくなると、

 いつも姉さんは、誕生日のお祝いか、

 結婚式をやらせるんだよ。

 きっと、もう100回位にはなるよ。』



『そうだな。

 今夜が、101回目の結婚式なんだよ。

 でも101回目が終れば、それでみんな終ってしまうのさ。

 だから今夜の結婚式は、特別に素晴らしいだろうよ。

 まあ、見ててごらんよ。』



 そう言われてヤルマールがテーブルの上を見ると、

そこには小さな紙の家が建っていて、

どの窓にも明かりが点いていました。

そして家の前には、錫(すず)の兵隊さんが、

みんな捧銃(ささげつつ)をしていました。



~今日はこれにて~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

おしまいっ。
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