『 お か め の 話 し 』



前回のお話し  「おかめの話し 1」




『なんだ、それしきの事か?』



と、八右衛門は大きな声で言った。



『まあ、それ位の願いなら、訳も無くきいてあげるよ。

 おまえの後釜に、誰も貰わないと、

 心を込めて約束するよ。』



『ああ、お前さま、嬉しい。』



おかめは、寝床から半ば起き上がって叫んだ。



『まあ、それをお聞きして、本当に安心いたしました。』



 こう言うと、おかめはぱったりと倒れて息絶えた。



 さて、おかめが無くなってから、

八右衛門の健康が、どんどんと衰えてゆくようであった。

初めの内は、彼の様子が変わったのは、

無理もない悲しみのためだとされて、村の人たちも、



『何しろ、あの人は、

 たいそう女房想いだもの・・・』



位にしか言われなかった。

ところが、月日た経つにつれて、八右衛門の顔色は、

ますます悪くなり、身体も弱って行くばかりで、

とうとう人間と言うよりは、

むしろ幽霊のように見えるほどに、痩せ衰えてしまった。

そこで村人たちも、ただ悲しみだけで

あんな若者が、こうも急に痩せ衰えるわけがない、

どうしたことかと、不審に思い出した。

医者たちは、八右衛門の病気はありふれたものでは無い、

どうもこの容態の理由がよくわからないが、

何かよほど、並々ならぬ心の煩いから

来ているように見受けられるというのであった。

八右衛門の両親も、息子に聞きただしてみたけれども、

何の甲斐も無く、わからぬのであった。

当人の言うのには、



『お父さんやお母さんが、もうご存知の事以外に、

 別段、悲しみの元になるようなものはありません。』



とのことだったのだ。

そこで八右衛門の両親は、息子に再婚をすすめたが、

亡くなった妻との約束は、どうしてもや破る気になれない、

そう言ってきかなかったのだ。



 それから後も、八右衛門は、

日にまし目に見えて、弱って行くばかりだった。

それで、家の者たちも、

これではとても助かるまいと、半ば諦めはじめていた。

ところがある日の事、母親は、



『きっと何か隠し立てしている事があるに違いない。』



と思って、息子に本当の理由を教えておくれと真剣に頼んだ。

そして倅の前で、さめざめと泣いたので、

八右衛門も母親の切なる頼みを、拒むことは出来なかった。



『お母さん。』



八右衛門は言った。



~今日はここまで・・・~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

おしまいっ。
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