『 勇 ま し い 豆 仕 立 屋 』
前回までのお話し 「勇ましい豆仕立屋 1」 「勇ましい豆仕立屋 2」 「勇ましい豆仕立屋 3」
豆仕立屋は、急いで乗っかっていた木から降り、
今まで自分も一緒に、木を抱えていたかのように
振る舞いがながら、
『君は、そんなに大きな図体をしているのに、
この程度の木を運ぶことすらできないのだなぁ。』
と、豆仕立屋は、巨人を鼻で笑ったのです。
巨人は、汗ひとつ、息切れひとつしていない
小さな男を見て、驚いてしまいました。
それから二人は木をそこに置き去り、
一緒に歩いて、前へと進んでいきました。
やがてサクランボのいっぱい実っている木の傍を通ると、
巨人は、一番熟した実が付いている、
木の枝の先を掴んで、下へと曲げました。
そしてその先に付いている、美味しそうな実を
豆仕立屋へ食べるように勧めてくれたのです。
しかしチビ助の仕立屋には、この大きな枝を支えながら、
実を食べるだけの力は、本当はありやしないのです。
巨人が、枝から手を離したと同時に、
下に曲げられていた枝は、もとに戻ろうと跳ね上がり、
それと一緒に豆仕立屋は、空高く飛んでいってしまいました。
しかし豆仕立屋は、そのままうまい具合に怪我もせず、
再び同じ所へと、落ちてきたのです。
それを見た巨人は、
『チビ助! どういうことだ、これは!
こんな細い枝も支える力もないのか?』
と驚いて言いました。
『僕に、力が無いなんてことが、あるものかい!』
豆仕立屋は、答えました。
『一打ちで七匹ともあろう者が、
そんな程度だと、君は思うのか?
僕はね、危険を察して、この木を飛び越しただけさ。
狩人たちが、下の方の茂みに向って
鉄砲を撃とうとしていたのを、お前は気づかなかったのかい?
危ないだろうよ!
君が、僕に、力が無いだなんていうのなら、
君も僕を真似して、高く高く飛びあがってみろよ!』
巨人はそう言われるまま、高く飛びあがってみました。
しかし木を飛び越すどころか、枝に引っかかってしまい、
どうにも高く飛びあがることは出来ません。
ですから、ここでもチビ助の仕立屋は、
巨人に勝利したのでした。
そこで巨人は言いました。
『お前さんがゆかんな奴だったら、
一緒にわしらの洞穴まで来い!
そしてわしらの所に、泊まるがいいさ。』
豆仕立屋はちゃんと用意が出来ていましたから、
巨人について洞穴へと行きました。
2人が洞穴までやって来ると、そこにはまだほかの巨人たちが、
火を取り囲んで座っておりました。
そして、めいめい焼いた羊を手に持って食べていました。
豆仕立屋は、この洞穴の中を見回して
「こいつは僕の仕事場よりもずっと広い」
と、思いました。
巨人はチビ助にベッドを指さすと、
中に入って、ゆっくり眠れと言いました。
しかし巨人のベッドは、豆仕立屋には大きすぎました。
そこでベッドの真ん中には、入らずに、
隅の方で小さくなって眠りました。
やがて真夜中になり、巨人は静かに起き上がりました。
昼間、散々、豆仕立屋に馬鹿にされ、
巨人は、とても腹が立っていました。
そこで寝込みを襲うことにしたのです。
熟睡しているであろう豆仕立屋の眠っているベッドに、
一打ち、大きな鉄の棒を思い切り打ち下ろしたのです。
そして巨人は、
「ふん、チビの飛蝗(ばった)にトドメを刺した!」
と思うと、安心して眠りについたのでした。
翌朝とても早く、巨人たちは森に出かけて行って、
豆仕立屋の事などは、すっかり忘れていました。
するとそこへひょっこりと、
豆仕立屋が愉快そうに、勇敢に馬でやってきました。
それを見た巨人たちはとても驚いて、口々に、
『きっとみんなを叩き殺しにやって来たんだ!』
と怖れ、大急ぎで逃げ出してしまいました。
~今日は、ここまでっ。~
ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。
おしまいっ。
