『 小人のルンペルシュティルツヒェン 』



前回までのお話し
「小人のルンペルシュティルツヒェン 1」  「小人のルンペルシュティルツヒェン 2」





お妃様は、一晩中、聞いたことのある名前を

残らず思い浮かべました。

それから信用できる1人の使いの者に、

この国内に、どんな名前があるかを調べさせたのです。



 翌日、小人は再びやってきました。

小人は、



『お妃様よ、俺の名前、わかったかい?』



と、言いました。

それを聞いたお妃様は、

自分が知っている名前を、次々に言いました。

しかし残念ながら、お妃様が名前を一つずつ言う毎に、



『いいや、俺はそんな名じゃない。』



と、小人は首を横に振るばかりでした。



 二日目になって、お妃様は、

名前を調べさせる使いを、増やしたのです。

そして国中の全ての男にも、女にも、子供にも老人にも、

名前は何というかと、聞きまわらせたのでした。

するとその中には、いくつかの珍しい名前があり、



『小人さん、あなたの名前は、

 リッペンビースト?』



と、お妃様は珍しい名前を、小人に告げてみたものの、



『いいや、俺はそんな名じゃない。』



と、小人はまた首を横に振ったのです。



 三日目になり、使いの者がまた戻ってきて言いました。



『お妃様、今日、私が聞きまわった中に、

 今までと違う名前の者は、一人もおりませんでした。

 しかし、私がある高い山の麓で、

 狐と兔が、お休みなさいと言い合う森の角を曲がった時、

 小さな家を見つけたのでございます。

 その家の前には、火が燃えておりまして、

 その火の周りでは、とても滑稽な小人が、

 とても愉快そうに、片足でピョンピョン跳ねながら、



 ~今日はパンを焼こう。~

 ~明日は、ビールを醸造するぞ。~

 ~明後日は、お妃の子供を貰えるぞ。~

 ~誰も知らなきゃ、嬉しいな。~

 ~俺の名前は、ルンペルシュティルツヒェン。~



 そう楽しそうに歌っているのを聞いたのです。』



 それを聞いたお妃様は、涙を流しながら喜びました。

そしてお使いの者の手を取り、とても感謝したのです。

それから少しすると、

あの小人がお妃様の部屋にやってきて、



『さて、お妃様、今日が約束の日だよ。

 俺の名前を、当てられなければ、

 あんたの赤ん坊は、俺が貰って行くよ。』



と、楽しげに言いました。



 この時、お妃様は、困り顔を作りながら、



『あなたの名前は、クンツェかしら?』



『いいや。』



『では、ハインツ?』



『いいや。』



『・・・・・では、もしかしたら・・・

 ルンペルシュティルツヒェンという名前ではないかしら?』



『どうしてお妃様がそれを知っているんだ!

 きっと悪魔が教えたんだ!

 きっと、悪魔の仕業に違いないんだ!』



 小人は、そう喚きながら、部屋から外へ出て行きました。

そしてかんかんに怒りながら、右足で深く土を蹴飛ばしました。

すると余りに強く土を蹴飛ばしたので、

小人の左足は、腰まで

土の中に、スッポリと減り込んだのです。

ますます怒った小人は、自分の両手で

土の中に減り込んだ左足を掴むと、怒りに任せて、

自分の身体を真っ二つに引き裂き、死んでしまいました、とさ。




~「小人のルンペルシュティルツヒェン」 おしまい~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

おしまいっ。
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