『 雪 む す め 』




 昔々、とっても寒い北の国に、

子の無い、お年寄りの夫婦が住んでいました。



『おじいさん、たった二人きりですと、寂しいですねえ。』



『そうだね。せめて、子どもが居れば楽しいのにねぇ。』



おじいさんは、そう言いながらふと窓の外を見ると、

近所の子供達が大きな雪だるまを作って遊んでいました。



『ほら、おばあさん、外を見てごらん。

 子供達が雪遊びをしているよ。』



『あら、本当ですね。みんな、楽しそうに。』



『そうだ、おばあさんや、

 私たちも、雪だるまを作って遊ぼうじゃないか。』



『あれ、それはいい考えですよ。

 そうですねえ。

 それなら帽子を被って、手袋をはめて、

 長ぐつも履いている、

 うんと可愛い、女の子の雪だるまをを作りましょうよ。』



『うんうん。そうじゃ。そうしよう。』



 おじいさんとおばあさんは、嬉しそうに外へ出ると、

庭の真ん中に雪を集めて、雪だるまを作りました。

そして雪だるまの頭には暖炉の炭で、黒い髪や目を付け、

持ってきた毛糸の帽子を被せて、手袋をはめ、

最後に足には長靴を履かせてやると、

可愛い雪だるまの娘が、出来上がったのです。



『おばあさんや、可愛いねぇ。

 可愛いこの子に、何て名前を付けようかね?』



『そうですねえ。

 女の子ですから、可愛い名前が良いですよ。』



 おばあさんとおじいさんは、長い時間考えました。



『おじいさん、カーチャなんてどうでしょうね?』



『カーチャ。

 うむうむ。愛らしい名じゃ。

 これからは、この雪の娘はカーチャじゃ。』



 そう言うと、おじいさんとおばあさんは

身体が冷えて来たので、家の中に戻って行ったのでした。

家の中に入って間もなく、辺りが薄暗くなってきました。

その時、トントンと戸をたたく音がしました。



『はて、こんな時分に、誰が訪ねて来たのだろう?』



 おじいさんとおばあさんは、不思議に思いながらも

戸をあけてやりました。



~今日は、ここまで~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

つづくですっ。
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