『 人 魚 の 姫 』
前回のお話し 「人魚の姫 1」 「人魚の姫 2」 「人魚の姫 3」
「人魚の姫 4」 「人魚の姫 5」 「人魚の姫 6」 「人魚の姫 7」
そのお城は光沢のある黄色の石で出来ていました。
そして大きな大理石の階段が、幾つもあり、
その階段の一つは、海の中まで続いておりました。
そしてお城の上を見てみると、
そこには金色の丸い屋根が付いていました。
さらに長い円柱が建物の周りを囲っており、
その柱と柱の間には、まるで生きているかの様な、
大理石で作られた彫像が幾つもあるのです。
高い窓の透き通ったガラスから、お城の中が見えました。
そこには広間がずっと向こうまで続いていて、
その窓辺には、絹のカーテンが、
壁には立派な織の絨毯が飾られています。
それに壁と言う壁には、大きな絵が幾つもかかっており、
いくら見ても、飽きない程です。
一番大きな広間の真ん中には、
大きな噴水がサワサワと音を立て流れています。
その飛沫は高く飛び散り、
ガラス張りの丸い天井にまで、届いていました。
お日様の光が、ガラスの天井から差し込んできて、
水の上、それに大きな水盤に浮かんでいる水草を、
キラキラと照らしておりました。
こうして王子様の住んでいる所がわかると、
人魚のお姫様は、それからというものは、
毎日、夕方になるとその海辺にやって来ては、
大胆にも、陸の近くにまで、泳いでいきました。
それどころか仕舞には、細い水路を遡り、
美しい大理石のテラスの下まで行ってみたほどです。
テラスの影は、水面に長く映りました。
人魚のお姫様は、そのテラスの下に身を隠して、
若い王子様を見上げました。
王子様の方では、他に誰か居ようとは、思ってもおらず、
ただ一人、明るいお月様のしたで立っていたのです。
お姫様は、王子様が音楽を奏でながら、
旗をひらひらと靡かせたボートに乗って、
夕方海に出て行くのを、何度も眺めたのです。
お姫様は、緑の葦の間から
そっと王子様を覗いていました。
風がそよぎ、お姫様の白銀(しろがね)のベールが
靡くのを見た人は、きっと、
白鳥が翼を広げたと思う事でしょう。
漁師たちが、夜に松明を灯しながら、漁をしている最中に、
若い王子様の噂をしている事がよくありました。
漁師たちは、若い王子様の事をいつも褒め称えていました。
その話をこっそりと聞く度に、
皆に褒められる王子様を、嵐の日に助けたと思うと、
お姫様は、自分を誇らしく思い、嬉しくなるのでした。
でも王子様は、その事を全く知らないのです。
お姫様の事などは、夢にも思ったこともないのです。
お姫様は、次第に人間を慕うようになりました。
ますます人間界へと近づくために、海の上へ行って、
人間の仲間になりたいと思うようになっていったのです。
人間の世界は、海の人魚の世界よりも、
ずっとずっと大きい世界に見えました。
人間は、海の上を舟に乗り、自由に行き来します。
そして雲の上にまで聳(そび)えている、
高い山にも登る事が出来るのです。
それに人間の住んでいる陸地には、森や畑があり、
それが水面から覗く、お姫様の目の届かないほど遠くまで、
どこまでもどこまでも広がっているのが見えるのです。
お姫様の知りたいと思う事は、まだまだ沢山ありました。
お姉様たちに聞いてみても、
誰も皆、それを答えることが出来ません。
そこでお姉様は、お祖母様に尋ねてみました。
お祖母様ならば、上の世界の事を良く知っていましたからね。
上の世界と言うのは、
お祖母様が海の上の陸地に付けた呼び方でした。
『人間というものは、溺れて死ななければ、
いつまでも生きていられるんでしょうか?
海の底の私たちの様に、死ぬことは無いんでしょうか?』
と、人魚のお姫様たちは尋ねました。
『いいえ、おまえたち、人間だって死にますとも。』
とお祖母様は、優しく答えました。
~今日は、ここまで・・・~
ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。
つづくですっ。
