『 池 に 住 む 水 の 精 』



前回のお話し  「池に住む水の精 1」
「池に住む水の精 2」  「池に住む水の精 3」





 ガッカリして妻は、家へ帰りしました。

けれどもその晩、妻は再び夢をみました。

夢の中で、またあの老婆の家に行ったのです。

翌朝、妻は再び山の上の老婆の家へと急ぎました。

そして老婆に、昨日の出来事を涙ながら訴えたのです。

すると老婆は、今度は妻に金の笛を差し出すと、



『もう一度、満月になるまで待ちなさい。

 満月になったらこの金の笛を持って、

 池のほとりに座って、

 綺麗な歌を吹いてごらん。

 それが終ったら、この笛を砂の上へ置くのだよ。

 それからどうなるかは、見ていればわかるからね。』



と、今度も教えたのです。

妻は、老婆の言った通りにしました。

次の満月まで待つと、笛を吹き、

そしてその笛を砂の上に置いた途端に、

水の底がざわざわと鳴り出したのです。

そして大きな波が1つ持ちあがって、岸にやって来ると、

金の笛をさらって、池の底へ持って行ってしまったのです。

すると今度もまた、水が2つに割れたのです。

そして夫の頭だけでなく、

今度は胴の半分まで、水の上に現れました。

夫は妻の方へ両手を伸ばしましたが、

残念ながら、2つ目の大波が押し寄せ、

夫の頭から覆いかぶさると、

そのまま夫を池の底へと連れて行ってしまったのです。



『ああ、情けない・・・

 大切な人を、ただただ見ているだけで、

 何も出来ないなんて、

 直ぐに消え失せるだけだなんて・・・』



妻は、涙を流しながら言いました。

妻の心は、また悲しみで膨らんでしまったのです。

しかしまた、夢に誘われて、

三度、あの老婆の元を訪ねました。

今度は、白髪頭の老婆は、妻に

金の紡ぎ車を渡すと、妻の頭を撫でてやりながら、



『まだやることが、足りないのさ。

 いいかい、満月の夜になるのを必ず待つのだよ。

 満月の夜、この紡ぎ車を持って、

 池のほとりに座り、

 糸巻きがいっぱいになるまで、糸を紡ぐんだよ。

 糸をすっかり紡ぎ終わったら、

 紡ぎ車を水の傍にお置き。

 それからどうなるかは、見ていればわかるよ。』



と、今度も、やり方を教えたのです。



 今度も妻は、満月の夜まで辛抱強く待ちました。

そして、真ん丸のお月様が夜空に登ると、

金の紡ぎ車を池のほとりへ持って行き、

そこで麻糸が、全て無くなるまで、

カラカラと音を立てながら、一心に紡ぎました。

全ての糸を紡ぎ終えると、

妻は紡ぎ車を池の淵に起きました。

すると置いた途端に、

池の底が前よりも、ずっと荒々しくざわめいたのです。

そして前よりももっと大きな波が1つ押し寄せてくると、

紡ぎ車を飲みこみ、池の底に持って行ってしまいました。

するとたちまち水柱が立って、

夫の全身がすっかり現れたのです。

夫は、その勢いですばやく岸に飛びあがると、

妻の手を取って、その場を逃げ出しました。

ところが、ほんの少し逃げただけで、

池が轟々と唸りをあげながら、高く高く盛り上がり、

凄まじい勢いで、広い野原に流れ込んだのです。

2人は、どんどん逃げましたが、

今にも、水が追い付いて来そうです。

このままでは、溺れて死んでしまうでしょう。

妻は、息が上がり、苦しみの余り、

ありったけの声で、老婆に救いを求めました。



~今日はこのあたりで・・・~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

つづくっ。
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