『 1 2 人 の 王 子 』




 昔々、とある国に王様とお妃様がおりました。

2人はとても仲睦まじく暮し、

2人の間には、12人の王子様がいらっしゃいました。



 ある時、王様がお妃様に、



『そなたが次に生む13人目の子供が、

 もしも姫であったなら、

 今いる12人の王子たち全てを殺し、

 姫にこの国の全てを与えることとしよう。』



と、言いました。

王様は、そう言ったばかりではなく、

本当に、12人の王子様たちを殺すつもりで、

棺桶を12、作らせたのです。

そしてその棺桶の中には、

王子様たちの遺体を安置させる為に

鉋屑(かんなくず)をぎっしりと詰め込ませた上に、

その1つ1つに、枕まで置かせたのです。

それからこれら12の棺桶を、鍵がかかる部屋に入れ、

王様は、この部屋の鍵を

愛するお妃様に、そっと手渡したのでした。

そして、



『王妃よ、この事は他言無用じゃぞ。』

と、堅く口止めをしたのです。



 けれどもそれからというもの、

お妃様は、悲しみで気鬱になり、

一日中、座って泣いてばかりいたのです。



 一番末の甘えん坊の王子様、ベンジャミンが、

泣いてばかりいる母親を心配し、



『お母様、何がそんなに悲しいの?』



と、尋ねたのでした。

しかし、お妃様は、



『ごめんなさいね。

 あなたには、教えてさしあげられないのよ。』



と、答えるしかないのでした。

けれども末の王子様がしつこくせがみましたので、

お妃様は立ちあがると、

あの鍵のかかった部屋を開け、

鉋屑(かんなくず)が詰った12の棺桶を見せたのでした。

そして、



『可愛いベンジャミン。

 この棺桶は、あなたのお父様が、

 あなたと11人のお兄様たちの為に、

 作らせたものなのです。

 そのわけはね、

 もしも私が、女の子を生んだならば、

 あなた方、12人を

 お父様は、皆を殺してしまうおつもりなのです。

 そしてその後、皆をこの棺桶に入れて、

 お葬式を行うつもりなのですよ。』



と、お妃様は仰ると、涙が止まらなくなってしまったのです。

すると末の王子様は、



『お母様、泣かないで。

 僕たち皆で、何とかしてここから逃げだすからね。』



と元気に言ったのです。

それを聞いたお妃様は、



『11人のお兄様方と一緒に、

 森の中にお行きなさい。

 そして、一番高い木を見つけて、

 必ず誰か一人はその木の上から、お城を見張るのです。

 この城の塔を見るのですよ。

 もしも男の子が生まれたら、私が白い旗を出します。

 白い旗が見えたら、安心して戻っていらっしゃい。

 でも、もしも女の子を生んだなら、赤い旗を出します。

 赤い旗が見えたなら、

 急いでその森からも、お逃げなさい。

 必ず、あなた方は神様が守ってくださります。

 毎晩、私はあなたたちのために、

 夜中に起きて、お祈りをいたしましょう。

 寒い冬には、いつも暖かな火の傍に居られる様、

 夏には、暑さに苦しまぬ様、

 きっときっと、お祈りをいたしましょう。』



 こうして王子様たちは、城を大急ぎで出ると、

森の中へと入って行きました。

そして一人ずつ順番に、城の塔を見張ったのです。

見張り番に当った者は、一番高い樫の木に登りました。

そして城を見張り続け、11日目の事です。

この日は、末の王子のベンジャミンの番でした。

ベンジャミンは、高い高い樫の木に登って行くと、

そこでじっとお城の塔を見つめていました。

やがて、そこに赤い旗が上がるのを見たのです。



~今日は、ここまで~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

つづくですっ。
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