『 ナ イ チ ン ゲ ー ル 』



前回までのお話し  「ナイチンゲール 1」
「ナイチンゲール 2」  「ナイチンゲール 3」





すると侍従は、その鳥を見て、



『これは驚いた!

 あんなものとは、思いもよらなかった。

 どこにでもいる普通の鳥と

 少しも変わらないではないか。

 さては、こんなに大勢の偉い役人たちが来たから、

 鳥の奴、驚いて色を失ってしまったか?』



と、小ばかにしたように言いました。

しかし、御台所の小娘は、



『可愛いナイチンゲールさん、

 私たちの皇帝陛下が、

 あなたに歌を歌ってもらいたいと、仰っているのです。』



と、優しい声でナイチンゲールに話しかけました。

すると、



『この上もない、幸せでございます。』



と、ナイチンゲールは

何とも言えない、美しい声で答えました。



その声を聞いた侍従は、



『まるでガラスの鈴が、響いているようだ。

 あの小さな喉を、皆、見てごらん。

 なんとまあ、よく動くではないか。

 わしたちが、今まで、

 こんなに美しい声を聞いたことが無いというのは

 全く、不思議なほどだ。

 しかしこれなら、宮中でも、

 きっとうまくやってくれるだろう。』



と、うっとりと言いました。

その話を聞いたナイチンゲールは、



『ではもう一度、皇帝陛下に歌ってさしあげましょう。』



と、その場に居た侍従のことを、

皇帝陛下だと勘違いをしたのか、そう言ったのです。

侍従は、驚いて、



『これは、これは、

 素晴らしいナイチンゲール殿、

 今夜、あなたを宮中での晩餐会にお招きできることは、

 わしにとって、大きな喜びです。

 宮中へ参りましたら、その美しい声で、

 どうか、私たちの皇帝陛下の御心を、

 お慰めいただきたく思います。』



と、ナイチンゲールに伝えました。

するとナイチンゲールは、



『私の歌は、

 この広い緑の森の中で聞いていただくのが、

 本当は一番でございます。』



と答えましたが、

皇帝陛下が、御殿へ自分を招きたいとの話しを聞き、

ナイチンゲールは喜んで、

侍従たちと共に御殿へとついて行ったのです。



 御殿の中は、きらびやかに飾り付けがされました。

瀬戸物で出来ている壁や床は、

幾銭もの金のランプの光で、煌めきました。

鈴をつけていないのに、

本当に鈴のような音色を出す花々が、

御殿の中の全ての廊下に飾られました。

すると風が吹いたり、人々がその近くを歩くたびに、

花は揺れて、りんりんと美しい音を奏でます。

しかしあまりに沢山の花が飾られたために、

その沢山の鈴の音のために、

人の話も聞こえない位になっておりました。



 皇帝のいる、大きな広間の真ん中には、

金の止まり木が置かれていました。

そこに、ナイチンゲールがとまることになっていたのです。

この広間に、宮中のお役人が、一人残らず集まりました。

御台所の小娘も、

扉の後ろに立っていて良いとお許しが出ました。

何しろ、今では、この小娘も、「宮中のお料理人」という、

肩書をいただいているのですからね。

誰もかれも、一番立派な服を着ていました。

みんなは小さな灰色の鳥のほうをじっと見ました。

その時、皇帝が、

鳥にむかって頷いて見せました。



~今日は、このあたりで・・・~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

つづくですっ。
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