『 ナ イ チ ン ゲ ー ル 』



前回までのお話し  「ナイチンゲール 1」  「ナイチンゲール 2」




 侍従や役人たちは、宮中の中の全ての人間に、

ナイチンゲールの事を聞きまわりました。

しかし誰も、その事を知りません。

やがて宮中の人間の殆どに、その事を聞いてしまったのです。

最後には、台所で働く、宮中で一番貧しい小娘しか、

聞いていない人間は残っていませんでした。

そこで侍従と役人たちは、

貧しい小娘の所にやって来たのです。

そして話を聞くと、



『ああ、ナイチンゲールのことでございますか?

 それならよく存じ上げております。

 はい、それは本当に綺麗な声で上手に囀るのです。

 私は、毎晩、お許しをいただき、

 実家の病気の母親の所に、

 ここの食事の残りを少し届けさせてもらっています。

 私の実家は、浜辺です。

 そして食事を届けて、帰って来る途中、

 草臥れてしまい、森の中で休んで居た時のことです。

 ナイチンゲールの綺麗な声が聞こえて来たのです。

 それを聞いておりましたら、

 涙がこみ上げてきたのです。

 まるで私の病気の母が、

 私にキスをしてくれるような、

 抱きしめてくれるような、そんな気持ちがいたしました。』



と、娘は答えたのです。



それを聞いた侍従は、



『これこれ、娘よ、

 ではわしたちを、そのナイチンゲールの所へ、

 ぜひとも案内しておくれ。

 その代わり、わしがお前を、

 御台所の役人にしてやろう。

 その上、陛下が食事を召し上がる所に、

 今夜、居られるようにしてやろう。

 実は、陛下が今夜、ナイチンゲールを、

 広間に連れてくるようにと、

 仰っておいでなのだ。』



と、娘に言いました。



 早速、侍従と御台所の小娘は、

ナイチンゲールがいるという森へと出掛けて行きました。

すると、宮中の殆どの役人たちは、

ぞろぞろとこの二人について行ったのです

こうして、皆が勇んで歩いて行くと、

一匹の牝牛が啼き始めました。

すると



『ああ! あれだ!』



『やっとみつかった。

 良かった良かった。

 だが、小さな動物だと聞いていたが、

 意外と大きく、力強い声を出すもんだなぁ。

 だがあの声なら、以前から何度も聞いたことがあるぞ。』



と、小姓たちが声をあげました。

すると、



『いいえ、あの声は牝牛の声でございますよ。

 ナイチンゲールがいる場所までは、

 まだまだかなり距離がございますよ。』



と、御台所の小娘が言いました。



 すると今度は、沼の中でカエルが鳴きました。



『おお、なるほど、聞こえる。

 確かに素晴らしい声だ。

 まるでお寺の小さな鐘が鳴っているようだ。』



と、今度は宮中付きのお坊さんが言いました。

すると、



『いいえ、違います。

 あれはカエルの声でございますよ。

 ですが、もう間もなく、聞こえると思いますよ。』



と、御台所の小娘は言いました。



 やがて本物のナイチンゲールの声が聞こえてきました。



『あ、あれでございます。

 どうぞお聞き下さい。

 おしずかに。

 ほら、ほら、あそこにおりますわ。』



小娘はそう言うと、枝の上のほうにとまっている、

小さな灰色の鳥を指さしました。



~今日は、このあたりで・・・~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

つづくですっ。
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