『 ナ イ チ ン ゲ ー ル 』



前回のお話し  「ナイチンゲール 1」




 かくしてそれらの本は、世界中に広まりました。

ですから、そのうちのいくつかは自然と、

中国の皇帝の手にも入ってきました。

皇帝は、自分の金の椅子に腰を掛け、

幾度も幾度も、繰り返しそれらの本を読みました。

そして、何度も何度も頷いたのです。

それもそのはずです。

自分の都や御殿、それにお庭のことが、

それはそれは美しく賞賛されているのですからね。

嬉しくないはずがないのです。

しかし、皇帝は、



『しかし、何といっても、

 ナイチンゲールが、一番かの国では優れている。』



と、書かれている部分を読んだ時、



『一体、これは何なんだ!』



と、皇帝は、声を荒げたのです。



『ナイチンゲールだと?

 そのような鳥は、わしは知らん!

 そんな鳥が、このわしの国に居るだと?

 おまけに、このわしの庭の中に住んでいると?

 はてさて、わしはまだ聞いたことが無い。

 外国の本を読んで、初めて知ったという訳か。』



 そこで皇帝は侍従を呼ぶと、



『おい、わが国には、夜にも珍しい鳥がおるらしい。

 ナイチンゲールとか申すらしいぞ。』



と、皇帝は侍従に言いました。



『何でも、我が帝国の中で、

 一番優れたものだと、

 外国では言われているようだぞ。

 なぜ、今まで、お前はその事を、

 わしに話をしなかったのだ?』



『私は、今まで、

 そのものの事を、一度も聞いたことがございません。』



侍従は、そう答えると、



『しかし陛下、

 そのものを必ず探し出してごらんに入れましょう。』



と、皇帝に伝えました。



 しかし一体どこに行ったら、

ナイチンゲールは居るのでしょうか?

侍従は、御殿の中を考えながら

ただただひたすら、歩きまわりました。

そして歩きながら、誰かに出あう度に、

ナイチンゲールの事を聞いたのです。

しかし誰も、ナイチンゲールを知る者はいませんでした。

それで侍従は、また、皇帝の所に戻ると、



『陛下、恐らくナイチンゲールとは、

 本を書いた人たちの作り話に相違ありません。』



と、言いました。



『陛下、書物に記されておりますことを、

 そのまま鵜呑みには、どうぞなさいませんぬよう、

 お願を申しあげます。

 書物の中には、作り話しも多ございます。

 更には、妖術などと言われる類もございますから、

 どうか全てをお信じにはなさりませぬように。』



『そうは言うが、わしが読んだ本と言うのは、

 日本の天皇より送られてきたものだぞ。

 それゆえ、嘘偽りなど記されているはずが無かろう。

 わしは、是が非でも、

 ナイチンゲールの歌声を聞きたいのじゃ。

 どうあっても、今夜、

 ナイチンゲールをここに連れてまいるのじゃ。

 何を置いても、

 ナイチンゲールを、一番大切にしようじゃないか。

 だが、もしも今夜ここに、

 ナイチンゲールを連れて来ることが出来なかったら、

 宮中の役人全員、夕食の後に、

 全員の尻を叩くことにする!』



『はは!』



 侍従は返事をすると、また、

御殿の中を右往左往するばかりでした。

すると宮中の役人たちは、侍従と一緒になって、

あっちに行ったり、こっちに来たり、

皆が、ウロウロし始めてしまったのです。

誰だって、お尻をぶたれることは嫌ですからね。

こうして、世界中の人々が知っているのに、

宮中の人たちだけが知らない、

不思議なナイチンゲールの捜索が始まりました。



~今日は、このあたりで・・・~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

つづくですっ。
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