『 安 芸 之 助 の 夢 』



前回までのお話し  「安芸之助の夢 1」
「安芸之助の夢 2」  「安芸之助の夢 3」  「安芸之助の夢 4」





 さて、定めの裳があけると、常世の御殿から

萊州へ、国王の使者が来た。

この使者は、安芸之助に哀悼の辞を伝えてから、

彼にこう言った。



『わが君なる常世の国王から、

 あなた様へつたえよとの仰せのお言葉に、

「ただいま、そなたを生国へ送りかえす。

 七人の子供は、みんな王孫であるから、

 しかるべく面倒を見させよう。

 それゆえ、子供のことについて案ずることは無い。」

 とのことでございます。』



 この命を受けて、安芸之助は

言われるままに、出発の用意をした。

ばんたんの事務も片付いて、

相談役や信頼していた役人たちとの別れの式もすむと、

安芸之助はたいへん丁寧に、港まで見送られた。

そこで、彼が迎えの船に乗ると、

船は青い空の下の青い海原に出て行った。

そして、萊州の島が青くなり、灰色となって、

とうとう永久に消えてしまった。



……杉の木の下に居るのである。



 ほんのちょっとのあいだ、

安芸之助は気がぼうっとなって、目がくらんだ。

しかし、気がついてみると、

二人の朋輩(ほうばい)が相変わらず自分のそばに坐って、

楽しげに酒を飲みながら、談笑しているのであった。

彼はあっけにとられたように、

彼らを見つめて、大声で叫んだ。



『まったく、ふしぎだなあ。』



『安芸之助さんは夢でも見ていたんだろう。』



と、一人が笑いながら言った。



『ふしぎだなんて安芸之助さん、何を見ていたんだい?』



 そこで、安芸之助は、自分の夢、

――常世の国の、萊州島に逗留していた、

二十三年間の夢の話をした。

すると、二人は驚いた。

なぜかというと、安芸之助が実際に眠ったのは、

ほんの二、三分にすぎなかったからである。



~今日は、このあたりで・・・~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

つづくですっ。
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