『 安 芸 之 助 の 夢 』
前回までのお話し 「安芸之助の夢 1」 「安芸之助の夢 2」
彼らは櫃(ひつ)を開けて、その中から、
立派な織地でつくられた、様々な衣帯や冠を取り出した。
これらの物を安芸之助に着せて、
いかにも王者の婿にふさわしい装いにした。
それから彼は、謁見の間に通された。
診れば、そこには常世の国王が、
いかめしい黒い色の、高い冠をいただき、
黄色い絹の服を付けて、玉座についていた。
玉座の前には、左右におおぜいの顕官(けんかん)が、
まるで寺院の彫像のように身動きもせず、
きらびやかに居並んでいた。
で、安芸之助は中央に進み出て、
国王にむかって、しきたりの三拝の礼をした。
国王は丁寧な言葉で挨拶して、こう言った。
『そなたをここへ招いた訳は、すでに聞かされたとおりである。
そなたを一人娘の婿にすることにきめた。
――で、これから、婚儀を執り行う事にする。』
国王の言葉が終ると、たのしい楽の音が聞こえ、
美しい官女が長い列をなして、
帳(とばり)のかげから現われ、
花嫁の待っている部屋へ、安芸之助を案内した。
その部屋は大変ひろかった。
それでも、婚礼の式を見に集まって来た、
おびただしい客は、そのなかに、
はいりきれないほどだった。
安芸之助が、王女と向かい合って、
用意の座布団に坐ると、みんな彼に一礼した。
花嫁は天女のように見えた。
その衣装は、夏の空のように美しかった。
こうして、婚儀は非常な歓びの内に、執り行われた。
式がすむと、二人は、御殿のほかの場所に設けられていた、
一つづきの部屋に案内されて、
そこで、沢山の高貴な人たちの祝辞や、
数知らぬお祝いの品を受けた。
数日のち、安芸之助は、再び玉座の間に呼ばれた。
今度は、前よりもさらに丁寧に迎えられた。
国王は、彼に向かってこういった。
~今日は、このあたりで・・・~
ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。
つづくですっ。
