『 お や ゆ び 姫 』
前回までのお話し 「おやゆび姫 1」 「おやゆび姫 2」
「おやゆび姫 3」 「おやゆび姫 4」 「おやゆび姫 5」 「おやゆび姫 6」
おやゆび姫は、2人に何も言い返しませんでした。
けれども、2人が後ろを向いた時、
しゃがみこみ、ツバメの閉じた目にキスをしました。
『夏の間中、あんなに上手に歌を歌ってくれたのは、
きっとあなたよね。
あなたが、私を心から喜ばせてくれたのでしょ?』
そう おやゆび姫は考えました。
モグラは、日の差し込んでくる穴を土で塞ぐと、
野ネズミのお婆さんと、おやゆび姫を
家まで送ってくれました。
その晩のことです。
おやゆび姫は、どうしても眠れませんでした。
そこで寝床から起きあがると、
枯葉で綺麗な掛布団を編み上げ、
モグラが掘った長い廊下をつたって、
死んだツバメの体の上にそれを掛けてやったのです。
それから野ネズミの家で見つけた、
柔らかな綿を、鳥の身体の周囲に当てて、
少しでも暖かくしていられる様にしたのでした。
そして、
『さようなら、綺麗な小鳥さん。
夏、あなたが歌ってくれたお歌は、
本当に楽しかったわ。ありがとね。
あの時は、木がみんな青々としていて、
お日様が、みんなを暖かに照らしてくれていたわね。』
おやゆび姫はそういうと、
ツバメの胸の上に、頭を乗せたのです。
その途端、彼女はビックリしてしまったのです。
おやゆび姫の頭の下で、何か音がするからです。
小刻みに、何かが聞こえるのです。
それはツバメの心臓の音でした。
小鳥は死んでいたのではなく、
寒さで気を失って倒れていただけだったのです。
おやゆび姫が、身体を温めてくれたから、
息を吹き返したのでした。
ツバメは秋になると、暖かい国へ飛んでいくのですが、
皆と一緒に飛んでいる時に、どんどん遅れてしまう鳥は、
凍えて地面に落下するしかないのです。
そして冷たい雪に覆われ、やがて死んでしまうのです。
おやゆび姫はとてもびっくりして、
身体がぶるぶると震えました。
なぜならその鳥は、おやゆび姫と比べると、
ずっとずっと身体が大きかったから。
それでもおやゆび姫は、勇気を出して、
ツバメの周囲に、もっと沢山、
柔らかな綿を敷き詰め、
さらに、おやゆび姫が使っている掛布団を持って来て、
それを小鳥の頭の上に掛けてやったのです。
次の夜も、おやゆび姫はまたツバメの所に来ました。
ツバメは、しっかりと息を吹き返しましたが、
とても弱っていたので、
ちらっと、おやゆび姫を見るのが精一杯でした。
姫は、明りがわりの腐った木切れを手に持ち、
ツバメの横に立っていました。
『小さなお嬢さん、ありがとう。
お蔭ですっかり身体が温まりましたよ。
きっともうじき、力もわいて、
また暖かいお日様の光の中へ、
飛び立つことができると思います。』
病気のツバメはそう言いました。
『まあ、ツバメさん、外はとてもとても寒いのよ。
雪が降って、池には氷が張っているわ。
まだまだ暖かいお布団の中に居た方が良いですよ。
私が春になるまで、お世話をしてあげますから。』
と、おやゆび姫は言いました。
そうして、花びらに水を入れて持ってくると、
ツバメはその水を飲み、色んなお話しをしました。
~今日は、ここまで。 続きはまた明日。~
ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。
つづくですっ。
