『 お や ゆ び 姫 』



前回までのお話し  「おやゆび姫 1」  「おやゆび姫 2」  「おやゆび姫 3」




 集まって来たコガネムシたちは、

皆、おやゆび姫をじろじろと眺め、

『あれま可愛そうに、この子は足が2本しかないよ。』

『2本足だなんて、みすぼらしい子だね。』

『それに触覚もないじゃないか。』

『胴もこんなにヒョロヒョロだよ。』

『まるで小さな人間みたいじゃない、何て醜いの!』

と、コガネムシの奥さん達は、

さんざん、おやゆび姫の悪口を言い合ったのです。



 おやゆび姫を連れてきたコガネムシは、

皆が悪口を言っても、

それでもおやゆび姫は愛らしく、綺麗だと思いました。

しかし何度も何度も、皆が醜い、汚いと罵るうちに、

とうとう自分も、

おやゆび姫は汚いと思うようになってしまったのです。

そして、勝手につれて来たのに、

『さあ、ここから出ていくんだ。

 どこへでも、好きな所へ行くがいいさ。』

と、おやゆび姫を連れて、木から飛ぶと、

ヒナギクの花の上に、姫を置き去りにしたのでした。



 おやゆび姫は、自分がコガネムシたちが言うように、

お友達が出来ない位に、自分は醜いのかしら?

と思うと、悲しくなり、しくしく泣き出してしまいました。



 いいえ、そんなことは無いのです。

どんなにコガネムシの奥さん達が、悪口を言っても、

おやゆび姫は、この上もなく愛らしく、

そしてとても上品な女の子なのです。

この世で一番美しいバラの花びらのように、

優しくて可憐で、上品なのでした。



 おやゆび姫は、その夏の間中、

たった一人で、置き去りにされた森の中で暮らしました。

草の茎で寝床を編み、

それを大きなクローバーの葉の下に吊るし、

雨風を防ぎながら眠ったのです。

それから甘い花を摘んでは、それを食べ、

毎朝の葉っぱに溜まる露を飲みました。

 こうして、夏と秋の初めは、過ごしたのです。

しかし、とうとう寒い冬がやって来たのです。

楽しい歌を聞かせてくれた鳥たちも、

暖かい南の国へと飛んでいってしまいました。

木の葉や花も、枯れてしまいました。

今まで宿にしていたクローバーも、

くるくると丸まって、萎れてしまったのです。

 おやゆび姫は、寒さにぶるぶる震えました。

着ていた着物は、もうボロボロです。

もう凍えて死ぬしか道は無いのです。

さらに雪まで降り出したのです。

雪の一片(ひとひら)も、おやゆび姫にとっては、

とても大きな塊です。

雪が積もり出せば、あっという間に

姫は埋もれてしまうでしょう。

姫は落ちていた枯葉にくるまりました。

しかし、少しも暖まりません。



 おやゆび姫は、森から出ることにしました。



~今日は、ここまで。 続きはまた明日。~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

つづくですっ。
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